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トリコ〜食に魅了された蒼い閃光〜
第九話 動き出す物語
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。そりゃあ話題になるに決まってる」

「な、なるへそ。そりゃあそうだ。ってマスターはトムと交流あるんだ」

「あぁたまにトムの野郎が飲みに来るぜ。数日前だったかな、電話で今話題のライデンが近い内にトムの紹介でこのBarに来るって知らせてくれたわけよ。それでお前さんがライデンだと気がついたわけだ。納得したかい、蒼雷さんよ」

「……胃が痛くなるほどにな。ちくせう」

 恐る恐る後ろを振り返ると酒場にいる全員と視線が合うのではないかと思うほど注目されていた。恥ずかしいので、そっとサングラスをかけ直す。視線の種類は様々だ。疑いの眼差しを向ける者もいれば、ただ単に好奇心で見てくる奴もいる。まるで動物園だ。檻の中にいる珍しい動物として見られているみたい。はぁどうせなら美女に見つめられたいよと思っていると、おぉ!凄い美人発見!邪魔なのでさっとサングラスを外す。


 綺麗なプラチナブロンドをストレートに背中辺りまで伸ばし、左耳にだけ髪をかけるようにして出している。切れ長の綺麗な瞳に眼鏡がよく合っていて、まるで美人秘書。着ているワインレッドのスーツもその秘書の印象を強くしているのだろう。何よりその長い美脚を網タイツで覆っている所が実にエクセレントッ!スーツの上着から覗く豊満な胸はもはや凶器だ。あの母なる大地に埋まりたい。 

「ん? 誰見てやがんだ――ははぁん、さてはライデン、エイダに見惚れてやがるな? 止めとけ。見えるだろ、エイダの足元に転がってる哀れな男が。エイダに絡んでノッキングされやがったんだ。エイダは俺も認める程の腕っぷしだ。だから止めとけ」

「ノッキングだとっ!? だとするとあいつは堂々とエイダたんの下から美脚を眺め放題ということか! ゆるさん、ゆるさんぞぉおおお」

「ライデンってそんな奴だったのか……イメージ変わったわ」

 イメージなどクソくらえだ。キャラなど煩悩の前には何の意味もない。あの野郎最初からノッキングされることを計算してあの位置に倒れたのだとすればかなりの手練だ。もしかしたらパンツだって見える可能性もある。なんて猛者だ。勉強になるぜ、ちくしょう。

「おいライデン、そんな鼻息荒げるな。ヤバイ奴に見えるぞ。っというか今回依頼について忘れてねぇだろうなっ!」

「……マスター。俺には今成さなきゃいけない事があるんだ。止めないでくれ!」

「セリフだけは格好良いけどよ!――――ほら、依頼人が来たぞお前らッ!!!」


 ギギギと錆び付いた扉が開き一人の男を筆頭に複数の黒服の男たちが現れた。


「IGO開発局食品開発部長、ヨハネスです。今回の依頼について説明させていただきます」

 混沌としたヘビーロッジにヨハネスの声が虚しく鳴り響いた。


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