第九話 動き出す物語
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なおる。こういう時は開き直るのが一番だ。
「あら……ばれてーら」
「目利きのモリ爺なめんな」
「参りました。さすがっす」
エナミルビールと一緒に出された枝魔目を食べながらビールを飲み干す。枝魔目は中の豆が眼球のように不気味な枝豆だ。見た目は悪いが味は程良い塩がきいて実に美味。だが正直普通の枝豆のほうが良い。何せ気味が悪い。まだまだ飲み足りずマスターにビールの追加を頼もうとしたらすでにおかわりが用意されていた。さすがっすモリ爺。
「にしてもお前さん、新人の割にはきちんと勉強してきたんだな。ったく最近の若いモンはワシが目利きで有名なことを知らずにこのBarに来るもんだ」
「はっはは……俺もどちらかといえばモノを知らないほうに入るんだけど、今回は事前にトムによく教えてもらったからな」
苦笑いしながらビールを飲む。だって下手すれば新人の中で一番常識的な知識ないの俺かもしれないし。只今勉強中です。捗ってないけどな。
「あ?トム? ってことはお前さん、まさか――蒼雷のライデンかっ!!!」
――静寂
マスターの叫びであれほど騒がしかった酒場が一瞬にして静寂した。そして静寂したと同時に痛いほど多くの視線が俺の背中に突き刺さっている。
っていうか蒼雷のライデンって何!? ちょっと格好良いじゃない!恥ずかしさより俺の奥深くに眠っていた中二心が震えちゃったじゃない!責任取りなさいよっ!取り敢えずある程度予想はつくがマスターに尋ねる。
「な、何それ?」
「ふむ、知らぬは本人ばかりか。実は最近美食屋やその手の企業の中でよく話題に上がっている人物がおる。突如として世界の台所(ワールドキッチン)に現れた若き青年が鰐鮫をノッキングした状態でそれを背負いながら海の上を走り持ってきた、と」
一息つき、乾いた喉を癒すためかビールを一気に呷る……それ俺のビールなんだけど。しかしそんなことは気にしないとばかりにマスターは続きは話す。
「それ以降も鰐鮫クラスとはいかないが高ランクの動物達を度々ワールドキッチンに持ってきているらしい。それが蒼雷のライデン。この二つ名は実際にライデンの戦闘を目撃した人物からの証言で付けられたとのことだ」
「……」
あ、開いた口が塞がらねぇぜ。口にビール入れてないでよかったぜ。実はトリコのように周囲に騒がれるような人気者も良いなと考えていた時期が俺にもありました。しかし、結果として注目を浴びるということはただただ気恥ずかしいだけでした。おわり。
「って何でそんなに話題になってんだ?」
「はぁ〜そりゃあお前さん決まってるだろうが。名のある美食屋でもなく、まだ見た目十七、八の男が捕獲レベル二十代後半の鰐鮫をノッキングし、あまつさえ海上を走って登場だ
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