暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRYTAIL-ダークブリングの力を操りし者-
第十一話 記憶の日々の傍らで
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
と移動する。移動中、カナとレビィと呼ばれる小さな女の子が何やらボードゲームをしていたり、メロウに告白するんだとおっさんが決意を新たにしていたり、ミラがエルザのケーキを食べた真犯人ということが判明したりと席に移動するまでに様々な情報が入ってきた。

 俺が向かっている席はギルドの端っこにあり、ギルドの中では唯一と言っていいほど静かだ。まるで結界でも張られているかのように。実際それは比喩表現なのだが、周りがこれほど騒がしくその席一帯が静寂しているのを見るとあながち比喩でもない気がしてくる。

 その席とは小さなテーブルと二人掛けのソファーだ。そのソファーにはすでに最近親しくなった友人エバーグリーンが腰掛けていた。本を読みながら眼鏡を掛けている姿を見ると、どこかの秘書が務まりそうな雰囲気を醸し出している。と言ってもまだ十四歳なのだが。

「よう、エバ。相変わらず妖精関連の本を読んでるのか」

「えぇ、当たり前でしょ? ルシアは今日も映画?しょうがないから付き合ってあげるわ」

 妖艶に微笑みながら読んでいた本を閉じ、俺のために座り直してくれた。明らかに十四歳が出す色気ではない。脚を組み替え、どうぞと譲られた席にいつも通り座る。実はこのソファーはギルドに最初から存在してあった物ではない。俺とエバーグリーンが共に映画を見たり、本を読んだりするために一緒に買いに行った物だ。

 二人座るだけで多少窮屈になるソファーなので身体が密着する。その状態で俺の左腕をエバが抱き寄せ腕を組むのがいつもの映画を見るスタイルだ。今でもドキドキするのだが、勿論顔には出さない。こんな凶悪な面で真っ赤な顔をしても気持ち悪いことなど自覚している。小さなテーブルに映画ラクリマとシャンパンと二人分のグラスを置く。

「それで? この映画の内容は?」

「……妖精は出てくるから安心しろ」

「妖精が出てくれば何でもいいってものじゃないのよ? まぁいいけど」

 このエバーグリーンという女は妖精が異常なほど好きで、それだけで妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ったほどだ。エバと知り合ったときはたまたま俺がギルドで妖精の物語の本を読んでいたとき声を掛けられた。

 妖精好きというのはその時知ったのだが、前世の妖精が出てくる童話など彼女に話しているうちに仲が深まった。俺以外とはまだギルドに仲間と言える人は居ないらしく、よく彼女が一人で居る所を見かける。そのため、依頼などにも一緒に行くようにもなった。

 エバは俺の金髪の悪魔という二つ名をあまりお気に召さないらしく、何かと新たな二つ名を俺に付けようとする。何でも悪魔は好かないのだとか。一度それでエバとミラが言い争っていたことがあったな。

 そんな思考をしている間に映画はどんどん進展を見せている。この映画の内
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ