第三話 幼児期B
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詳しくはわからない。だけど、事故は確実に起きる。母さんは俺たちが3歳ぐらいの時に、ヒュードラの設計主任に選ばれた。それは今も継続しており、おそらく事故が起きるその時まで続くのだろう。
普通ならどうしようもなかった。ただの子どもに事故を回避することも、対処することもできるはずがないからだ。本来ならアリシアと一緒にいる俺も、死亡フラグが乱立している。
だけど、俺はただの子どもじゃなかった。事故を止めるために自分ができることを考えられる。なによりも、事故を回避することができるレアスキルがある。
救えるのだ。他でもない俺だけが。1人の少女の未来を、1つの家族の幸せを護ることができる可能性を。
そしてそれは同時に、1人の少女の未来を、多くの少女達の幸せを奪うことになる可能性を。
正直にいえば、どうしてこんなことになったんだろうとは思う。俺はただ笑って人生を往生したいだけだったのに。誰かを不幸にしたくもないし、みんな笑っていられたらそれでいいじゃないか、とかのほほんと考える、自分でもマイペースでのらりくらりとした性格だって自覚していた。
それでも、選ばなくちゃいけないのなら。それでも、俺に出来ることがあるのなら。
とりあえず、俺に出来ることを精一杯に頑張ってみようと、まずは思った。3歳の子どもにできることは限られているけど、何も変わらないのかもしれないけど、少しでも後悔しないように。俺が俺らしく生きていけるように。
今はまだ、……先のことなんてあんまり考えないで、自分がしたいことをしていくことに決めたんだ。
******
俺はずっと前から、とある計画を立てていた。自分に出来ることをめっちゃ考えた結果、今日俺はその1つを実行に移すことにしたのだ。成功と意気込みを込めて、掛け声一発。せーの、ラッセーラ! ラッセーラ! ……よし、完了。
というわけで。
「母さん、仕事辞めて」
「ア、アルヴィン。いきなり何を言い出すの?」
キッチンで晩御飯を作っていた母さんは、戸惑い気味に聞き返してきた。今日の晩御飯はシチュ−らしい。牛乳嫌いの妹だが、シチューは好きだ。なんだか某豆にキレていた錬金術師を思い出す。カルシウムは大切だから、ちゃんと取らせるようにしないといけないなー。
いかんいかん、また考えが横道にずれた。
「いきなりというか、ずっと思っていたんだ。母さん、いつもすっごく疲れてる。そんなに大変なら今の仕事を辞めて、別の世界で心機一転しようよ」
「難しい言葉を知っているのね。でもね、お母さんのお仕事がなくなったら、みんなのご飯やお洋服もなくなっちゃうのよ」
シチューが入っている鍋の火を止め、母さんは優しく諭すように話してくれる。確かにた
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