第四十五話 潰えた理想
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がドルチェノフの粛清のせいであるのはもう言うまでもないことであった。
「あの光と共に私の理想も、望みも全て消えていく・・・・・・」
泣いていた。男の涙であった。理想が消えていくのを感じる男の涙であった。
「閣下、私はこれからどうすれば・・・・・・」
もう彼の中のギガノスはなかった。ギルトールの気高い理想とカリスマ、それがあってこそのギガノスであった。今それがなくなってはもう彼の拠り所はなかった。少なくとも今まではそうであった。
しかし彼は覚えていた。ギルトールの最後の言葉を。それが彼を再び立ち上がらせたのだ。
「閣下、これが最後の私の戦いです」
そう言って格納庫に向かった。
「マスドライバーを。あれだけは」
格納庫はまだ炎が回ってはいなかった。幸運であった。マイヨはこれを幸いとして格納庫に向かう。だがその前に武装したギガノスの兵士達がいた。
「やはりここに来たな、プラートよ」
「貴様!」
そこにはドルチェノフがいた。彼はマイヨがここに来ることを察知して先回りしていたのであった。
「ギルトール閣下の仇、とらせてもらうぞ」
「何を!」
それはこちらの言葉だ、とは言わなかった。これが仇になったのか。
「討て!」
ドルチェノフは兵士達にマイヨを撃つように命じる。だがここでその横から銃撃が起こった。
「ムッ!?」
「大尉殿!こちらでしたか!」
「御前達・・・・・・」
そこにいるのは若手将校達であった。マイヨを慕う者達である。
「御無事でしたか!何よりです!」
「どうしてここに」
「貴様等、どういうつもりだ!」
かろうじて銃撃を生き延びたドルチェノフは彼等を見据えて叫ぶ。その周りを兵士達で固めさせながら。
「この男はギルトール閣下を暗殺したのだぞ!そのような男を」
「黙れ!大尉殿がそのようなことを為されるか!」
将校の一人が叫んだ。
「これは何かの間違いだ!どうせ貴様の差し金だろう!」
「クッ!」
ドルチェノフは答えるかわりに歯噛みした。これが何よりの答えであると言えた。
「大尉殿、こちらへ!」
彼等はその隙にマイヨを導く。
「早く格納庫へ!大尉のフぁルゲン=マッフがあります!」
「しかし御前達は」
「何、ここはお任せ下さい」
彼等はにこりと笑ってこう言った。
「我等のことは御気遣いなく」
「しかし」
「しかしもこうしてもありません。どうかここは」
「我々にお任せを」
「・・・・・・わかった」
彼等の心がわかった。ならば頷くしかなかった。
マイヨはまた駆けはじめた。行く先は格納庫しかなかった。彼はそこで自らの理想、そして希望の全てに対して決着をつけるつもりだったのだ。
「閣下、お任せ下さい」
そう言いながら窓に映る青い地球を見た。ギルトールが愛し
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