第四十五話 潰えた理想
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ーーっ!」
マイヨの沈痛な叫びが部屋に響く。だがそれに応える者はもういなかった。
ドルチェノフはそれを見下ろしながら陰惨な笑みを浮かべていた。彼の脳裏に悪魔的な考えが宿っていたのだ。
「誰かいるか!」
彼は叫んだ。
「ギルトール閣下が討たれた!マイヨ=プラート大尉に討たれたぞおっ!」
「何っ!?」
マイヨはその言葉を聞いて思わず顔をあげた。そしてドルチェノフを見上げた。
「今何と!?」
彼もまた純粋であった。あくまでギルトールの理想を絶対なものとして考えていたのだ。だが今その目に映っているのは醜い顔と心を持つ俗物であった。
「聞こえなかったのか、プラート大尉」
ドルチェノフは笑ったままであった。その後ろに武装した兵士達がやって来る。
「貴様を元帥暗殺の現行犯として逮捕する。動くなよ」
「ドルチェノフ、貴様ぁっ!」
最早叫んでもどうにもなるものではなかった。マイヨは左右を兵士達に抑えられながらもドルチェノフを睨み据えていた。その目には怒りと憎しみの光が宿っていた。そしてドルチェノフの目には狂気が宿っていた。
程無くマイヨは連行されていった。処刑場にである。現行犯であり最早言い逃れできないというのがその理由であった。
誰もがマイヨは終わったと思っていた。彼以外は。そして彼はここで動いた。
彼を連行する兵士達は明らかに油断していた。マイヨが何も持っていないことに安心しきっていたのだ。だが彼は銃を持ってはいなくとも爪を持っていた。ギガノスの蒼き鷹としての爪を。
(今だ!)
マイヨはすぐに動いた。左右の兵士達に当て身を浴びせその銃を奪う。そしてそこから逃走したのだ。
「このままでは終わらん」
彼は廊下を走りながら呟く。そして外に出る。
「このままでは・・・・・・」
そこにたまたま停めてあった車に飛び乗った。それで基地に向かう。若手将校達がいる基地に。そこでギルトールの理想を受け継ぐつもりであったのだ。
「こうなっては私が閣下の・・・・・・」
だがそれは適わなかった。ドルチェノフは既に動いていたのだ。自らに反対する者達を粛清する為に。
マイヨは見た。同志達のいる基地が突如として燃え上がるのを。その上にはメタルアーマーが飛び交わっていた。
「まさか、ドルチェノフ・・・・・・」
予想通りであった。ドルチェノフはすぐに反対派の粛清に取り掛かっていたのだ。マイヨの目の前で今何もかもが炎に包まれていっていた。
基地に到着した時には何もかもが終わっていた。基地は炎に包まれ所々で爆発が起こっていた。彼はそれを見て愕然とするばかりであった。
「終わったのか、何もかも・・・・・・」
それに答える者はいない。だがそうであるのはよくわかった。炎と光が彼の周りを覆っていた。宇宙においても。それ
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