第四十五話 潰えた理想
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迎撃に・・・・・・何っ!?」
その目にはギルトールに銃を突きつけるドルチェノフが映っていた。彼はそれを見てすぐにギルトールの側に向かった。
「ドルチェノフ中佐、これは一体」
「ええいプラート大尉、そこをどけ!」
マイヨの突然の入室が彼をさらに狼狽させた。
「どけと言っているのだ!」
「何を馬鹿なことを!」
だが彼は当然のようにそれに従おうとはしない。
「閣下に銃を向けるとは・・・・・・それでもギガノスの軍人か!恥を知られよ!」
「そんな悠長なことを言っている場合ではないのだ!」
「何故!」
「若手将校達の粛清とマスドライバーの全面使用をしなければギガノスは敗れてしまうのだ!そんなこともわからんのか!」
「それでギガノスが勝利を収めるわけではない!」
マイヨは彼の言葉を完全に否定した。
「大義なくして勝利はない!そんなことでギガノスは勝てはしない!」
「青二才が!貴様に何がわかる!」
「戦い、そして大義がわかる!」
毅然として言い返した。
「ギガノスの大義が!」
「妄言を!」
「妄言を言っているのは貴方だ!今すぐここから立ち去れ!」
「貴様上官に対して!」
「私はギルトール閣下直属だ!貴官の部下ではない!」
「まだ言うか!」
「いい加減にせぬか、ドルチェノフ!」
そしてギルトールも動いた。ドルチェノフの銃を奪おうとする。
「そのようなもので我が理想は阻めぬ!」
「クッ!」
ドルチェノフの指が動いた。そして銃声が響く。それがギガノスを崩壊させてしまった。
「グッ・・・・・・」
「閣下!」
マイヨは叫んだ。その目には胸に銃弾を受け背中から倒れ込むギルトールが映っていた。まるでコマ送りのようにゆっくりと見えた。
「な・・・・・・」
ドルチェノフは自分がしたことがわからなかった。あまりのことに呆然としていた。
ギルトールは床に倒れた。そこにマイヨが駆け寄る。
「閣下!」
「マイヨ・・・・・・」
その顔には既に死相が浮かんでいた。最早助かりはしないことは明らかであった。
「マスドライバーの地球への全面使用、そして同志達への粛清は・・・・・・」
「はい」
マイヨは彼の言葉を一字一句聞き逃そうとはしないかのように耳を傾けていた。
「ならぬぞ」
そう言いながらその手をゆっくりと掲げる。窓の外に見える青い地球に向けて。
「あの美しい地球は・・・・・・」
「はい」
その手は地球を掴もうとしているかのようえあった。いや、護ろうとしているのかも知れない。いずれにしてもその手は彼の理想によって動いていた。
「汚してはならぬ・・・・・・」
それが最後の言葉であった。彼はゆっくりと目を閉じその手を降ろした。そして息を引き取ったのであった。
「閣下ぁぁぁぁーーーーーー
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