第四十五話 潰えた理想
[5/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
程度は彼等の意もくむつもりだ」
「お甘い!その甘さが全てを壊してしまうのですぞ!」
「そのようなことはない!この世は常に正しき方向に流れるものだ」
ギルトールの難点としてはあまりにも純粋でありその理想を追い求め過ぎることであろうか。その為に汚い手段を好まず無意味な流血も嫌う。こうした人物は時としてその潔癖さ故にミスを犯したりする場合がある。本人が気付いていない場所においてである。
「大義は我等にある。それならば最後に勝つのは我等だ」
「ならば武力鎮圧もマスドライバーの全面使用も」
「くどいと言っている」
彼はいい加減腹がたってきているのを自分でも感じていた。
「もういい。さがれ」
そしてドルチェノフに対して下がるように言った。
「貴様は貴様の持ち場に戻るのだ。いいな」
「クッ・・・・・・!」
「これh命令だ。よいな」
「閣下」
「何だ」
見ればドルチェノフのその顔は怒りと不満の為か真っ赤になっていた。そしてギルトールを見据えていた。
「何としてもお聞き入れ下さらないのですか」
「何度でも言う」
ギルトールも言った。
「ならぬ。わかったな」
「ならば仕方ありませぬな」
そう言って腰から何かを取り出した。
「!」
「閣下!」
それは拳銃であった。ここでギルトールの寛容さが裏目に出てしまった。
彼は部下を信頼し、寛容さと人柄、そして理想で導く男であった。その為その警護も極めて緩やかであり将兵達には拳銃を持ったままで会うことも認めていたのだ。それを危惧する声は前からあったが彼は同志達を信頼していた。今それが裏目に出てしまったのだ。
「閣下!何としても御聞き入れて頂きます」
「ドルチェノフ、何のつもりだ」
銃を突きつけられる。だがそれでもギルトールは怯んだりはしなかった。
「それをわしに向けてどうするつもりだ」
「重ねて要請致します。武力鎮圧とマスドライバーの全面使用を」
「ならんと言っている」
それでもギルトールはそれを認めようとはしなかった。
「いい加減にしろドルチェノフ、見苦しいぞ」
「ならば我々にも覚悟があるということを御理解下さい」
「馬鹿なことを」
それでも彼はドルチェノフに理があるとは認めなかった。
「その様なことで我等が理想を実現できると思っているのか」
「理想という問題ではありませぬ」
ドルチェノフは自分の考え以外を認めようとはしなかった。
「勝利の問題です」
しかしこれは論理の摩り替えであった。この時点でもう彼は負けていた。それに気付いていないのは彼だけであった。自分が何を言っているのか、何をやっているのかわからなくなっていたのだ。ここで部屋の扉が開いた。
「失礼します、閣下」
入って来たのはマイヨであった。
「これよりロンド=ベルの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ