第四十五話 潰えた理想
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「都合のいい時だけ俺達を使うんだから」
「だがそれが戦争だからな」
アランがそう言って雅人を窘めた。
「仕方ないと言えば仕方のないことだ」
「どうやら君は納得してくれているようだな」
「納得も何もハマーン=カーンを放っておくわけにはいかないでしょう」
それがアランの答えであった。
「あの女は危険です」
「危険、か」
クワトロがそれに対して思わせぶりな言葉を漏らした。
「確かにな」
しかしそれは誰にも聞こえなかった。彼等は言葉を続けた。
「それではすぐにネオ=ジオンの迎撃に向かってくれるか。他にもまたバルマーが動いているらしいしな」
「バルマーまで」
「ポセイダル軍との戦闘の結果捕虜を得てな。三輪長官が直々に詰問した」
そう語るミスマルの厳しい顔に一瞬嫌悪の情が走る。皆それに気付いたがあえて言おうとはしなかった。
「そしてわかったことだが。バルマーの本軍が地球圏に向かって来ているそうだ。方面軍ごとな」
「方面軍が」
「その司令も一緒だ。ヘルモーズに乗艦し、多くの将兵達を引き連れて来ているという」
「よりによってこんな時に」
「次から次へと」
「正直に言うと彼等に対処できるのは君達しかいないのが現状だ。今地球にいるロンド=ベルは行方不明だ」
「行方不明!?」
それを聞いて驚きの声があがった。
「では彼等は今一体何処に」
「シュウ=シラカワ博士が教えてくれたのだが」
「彼が」
何やら得体の知れない不気味さを感じずにはいられなかった。その名にはやはり何かがあった。
「彼等は今ラ=ギアスにいるらしい。そしてそこで活動しているそうだ」
「ラ=ギアスですか」
「地下でも騒乱があるそうでな。それに参加しているらしい」
「ふむ」
「地上は今はシラカワ博士が防衛にあたってくれている。ネオ=グランゾンでな」
「ネオ=グランゾンでですか」
「圧倒的な力を持つあのマシンなら当分は大丈夫だと思うのだが。三輪長官はそれも信用していないらしい」
「あのおっさんには人を信用するってことがねえのかね」
イサムはそれを聞いて口の端を歪めさせた。
「そんなんだから周りに人がいねえんだよ」
「だがそれは彼だけではない。連邦政府も連邦軍も彼に対しては不審の目で見ているのが現状だ」
「当然だよな」
リュウセイがそれに頷いた。
「俺達もあの人にはとんでもねえ目に遭ったし」
「そうおいそれと信じるって方が無理だよ」
ジュドーも同じであった。彼等は未来の戦いで彼と実際に剣を交えているから言えるのであった。
「けれど守ってくれてるんならそれに頼るしかないかな」
「シラカワ博士については私が責任をもって当たっている」
「司令が」
「今の彼は信用できる。だから地上のことは任せてくれ」
「わかりました」
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