第四十四話 第三の敵
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らどうするかな」
「それですね」
ピートが大文字の溜息混じりの言葉に応えた。
「何とかしなければならないのは事実ですが」
「それはそうだが」
「とりあえずはここに留まりますか。それで様子を見ましょう」
「だがそれではあまりにも無策ではないかね」
「いえ、俺はそうは思いません」
サコンがそれに対して言った。
「待つのも一つの作戦です。今回はそれでいくべきです」
「そうか」
「はい。ですからここは待ちましょう。いいですね」
「わかった。そうするか」
「はい」
こうして彼等はここに留まることになった。ただシュメルとの交流は続けられた。彼等の中にはその家の中に入る者もいた。
「ふうん」
マサキ達はシュメルが描いたという絵を眺めていた。それ等はアトリエにそれぞれ飾られていた。描きかけのものまである。
「成程ねえ」
「こんなものか」
「どう、先生の絵は」
ロザリーが彼等に尋ねる。
「気に入ってもらえた?」
「ううん、それはねえ」
リューネが苦笑いを作った。
「どうかなあ」
「駄目かな」
「何というかね。あたしには合わないよ」
「あら、残念」
「俺もな。もうちょっとこうアニメチックじゃねえと」
マサキも酷評していた。
「最近の絵はそうでなきゃな」
「僕は水墨画の方がいいがな」
ヤンロンも話に加わってきた。
「どうも風景の描写に独創性が足りないようだが」
「何か今一つ評判がよくないね」
「いや、そうは思わない」
「ゲンナジー」
見ればゲンナジーもいる。彼はシュメルの絵から目を離さないでいた。
「素晴らしい。これだけの名画はそうそう見られるものではない」
「へえ、ゲンナジーが気に入るなんて意外だね」
「ゲンちゃんこれでも芸術には造詣が深いからね」
「そういえばそうだね」
シモーヌがそれに頷く。
「バレエや音楽にも詳しいし。暇があると文学書読んでるし」
「意外とインテリなんだ」
「拙僧と同じだな」
「あんたは格闘技の本ばかりでしょーーが」
「きついのう、ベッキーは」
そう言いながらも全く反省していないのがティアンらしいと言えばらしかった。
「それにしてもゲンちゃんって本も好きなんだ。意外ね」
「ミオさんは漫画ばかり読み過ぎですよ」
「それが今時の女子高生なのよ。それでどんな本読んでるの?」
「ロシア文学とか哲学書とか」
「ふんふん」
「そうしたのが多いですよ」
「何だ、ゲンちゃんわかってるじゃない」
「わかってるってどういうことなんだ!?」
マサキがその言葉に首を傾げさせる。
「自分のキャラクターがよ。ゲンちゃんはそうでなくちゃ」
「また変なことを考えてやがるな」
「さて、何のことでしょ」
「おめえは大介さんとこにでも言ってろ。それが
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