第四十三話 月の異変
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「それではな。後を頼む」
「わかりました」
シロッコは艦橋を降りるとそのまま廊下を進み格納庫に向かった。そしてそこに置かれているモビルスーツ達を悠然と見上げていた。
「ジ=Oもかなり修復が進んだな」
「はい」
傍らにいるジュピトリスの技術将校の一人がそれに頷いた。
「あと暫くでまた戦場に送り出せるようになると思いますが」
「それは何よりだ」
「やはり大尉が乗られるのですね」
「いや、私はもうこれに乗るつもりはない」
「何故ですか?」
技術将校はそれを聞いて驚きの声をあげた。
「ジ=Oは大尉のものではなかったのですか」
「最早ジ=Oでは足らないのだ」
彼は素っ気無くそう答えた。
「より上のものが必要だ」
「左様ですか」
将校は一呼吸置いてからまた問うた。
「ではジ=Oはどうされるのですか?」
「メッサーラと同じようにすればいい」
「ではジェリド大尉に」
「そうだ。彼も何かと大変だろうからな」
笑いながらそう述べた。
「私からのささやかな贈り物とだけ伝えてくれ。いいな」
「わかりました」
「彼なら無難に乗りこなせるだろう。だが私はそれより上に進む」
「上とは」
「それもわかることだ」
「はあ」
「それよりも他のモビルスーツの開発も順調なようだな」
「ええ、まあ」
「ボリノーク=サマーンもパラス=アテネもな」
「どちらも間も無く実戦配備可能と思われますが」
「それについて話がしたい。サラ=ザビアロフ少尉とレコア=ロンド中尉はいるか」
「今それぞれ自室で待機中だと思われますが」
「すぐに呼んでくれ。いいな」
「わかりました」
こうしてピンクの髪の小柄な少女と茶髪の女が格納庫に呼ばれた。それぞれティターンズの軍服を着ている。ピンクの髪の少女がサラ、茶色の髪の女がレコアであった。なおレコアはかってエゥーゴにいたことがある。紆余曲折を経て今はこのティターンズに身を置いている。
「よく来てくれた、二人共」
「パプテマス様、何の御用件でしょうか」
「実は二人に渡したいものがあってな」
「渡したいもの」
「そうだ。あれだ」
シロッコはレコアに応え格納庫の後方を指差した。そこには二機のモビルスーツが置かれていた。
「ボリノーク=サマーンとパラス=アテネだ」
「あれが」
「今後戦いの際にはあれに乗って戦ってもらいたいのだ。いいか」
「喜んで」
まずはサラが頷いた。
「パプテマス様の御命令なら」
「そうか。ではレコア中尉、君はどうなのだ」
「私も搭乗させて頂きます」
レコアは強い声でそう答えた。
「それがこれからの世界の為ならば」
「そう。これからの世界は今までとは違う」
シロッコは静かにそう述べた。
「いつも私が言っていることだが」
「はい」
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