第四十三話 月の異変
[7/23]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「地球を見ていると思うのだ。わしは重大な過ちを犯してはいないだろうか」
「過ちを」
「そうだ。あの地球を。攻撃してもいいものだろうか」
「腐敗した者達への粛清ならば」
「最低限の攻撃はな。今まではそう考えていた」
彼は地球を見据えていた。その青い輝きの前に全てを見ているようであった。
「だが・・・・・・。それは違うのではないか。わしはマスドライバーなぞ作らせてはならなかったのではないか」
「閣下、御言葉ですが」
マイヨがそれに対して言おうとする。
「あれは腐敗した無能な者達に対する正義の裁きの為です」
「そうだったな。わしも今まではそう思っていた」
「ならば」
「だが・・・・・・あの青い光を見ていると心が揺らぐのだ。使用してはならぬではないかと」
「限定的ならば問題はないのではないでしょうか」
「そう思うか」
「はい」
マイヨはそれに頷いた。
「全面使用には反対なのだな」
「それでは地球を汚すだけです」
それはマイヨも反対であった。
「美しい地球を・・・・・・。それでは我等の理念はどうなるでしょうか」
「そうだ。だが急進派の中ではそれをわしに強硬に求めている者もいる」
「ドルチェノフ中佐でしょうか」
「そうだ」
マイヨはそれを聞いてやはり、と思った。彼こそが今の高級将校の腐敗の中心であり、若手将校の粛清も目論んでいる者達の領袖であったのだ。同じギガノスにいながらマイヨとは決して相容れない存在であったのだ。
「それだけはならん。わかるな」
「はい」
「ならばよい。御前は若い者達をまとめよ。わしは上層部を何とかする」
「わかりました」
「人類の為に・・・・・・。頼むぞ」
「ハッ」
マイヨは返礼して退室した。とりあえずは安心した。だが騒動が長く続くこともわかっていた。だからこそ完全には安心してはいなかった。
「これから・・・・・・どうなるか」
それを思うと不安である。だが今はそれを心の中だけに留めることにした。戦いも目前に迫ろうとしていたからである。彼はそのまま港に向かった。
「出撃準備はできているか」
「はい」
整備将校がそれに応えた。
「全機すぐにでも出撃が可能です」
「わかった。ではすぐに第一次防衛ラインに向かうぞ」
「すぐにですか」
「そうだ。敵は待ってはくれぬ」
彼は簡潔にそう述べた。
「先んずれば人を制す、だ。いいな」
「わかりました。それでは」
「うむ」
「御気をつけて」
「ここを頼むぞ」
「はい」
こうして彼はファルゲン=マッフに乗り込んだ。そしてそのまま宇宙へと飛び立った。
ロンド=ベルとギガノスの戦いがはじまろうとしていることはティターンズからも確認されていた。それを遠くから見る一人の男がいた。
彼は巨大な宇宙船に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ