第三十九話 火星の影
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チッ」
彼は舌打ちしながらもそれに頷くことにした。
「そうだな。じゃあそっちに向かうか」
「そうだ。では行くぞ」
「ああ」
だが敵は既にその殆どが撤退していた。木星トカゲの部隊はボゾンジャンプで戦闘宙域から去っており、モビルスーツ部隊はコロニーの方に離脱していた。こうして戦いは幕を降ろしたのであった。
「これで敵の防衛ラインは突破したな」
ブライトは戦闘の終わった宙域を見回しながらそう言った。
「はい。思ったよりあっさりといきましたね」
「一時はどうなるかと思いましたけどね」
「そうだな」
トーレスとサエグサに対して頷いた。
「だがまた新たな敵がはっきりしたな」
「火星の後継者か」
「ああ」
艦に戻り、艦橋にやって来たアムロに対しても応えた。
「ナデシコと合流した時からおかしいとは思っていたがな」
「そうか」
アムロはそれを聞いて頷いた。
「だがまさか新しい組織が出て来るとはな。意外だった」
「しかもネオ=ジオンと結託するとはな。これは厄介だぞ」
「ああ」
「それも火星にだ。下手をするとネオ=ジオンはティターンズに匹敵する力を手に入れたのかも知れない」
「だとしたら大事ですよ」
トーレスがそれを聞いて口を挟んできた。
「ただでさえ手強いモビルスーツを一杯持っているっていうのに」
「わかっている。いずれ彼等も何とかしなくてはならない」
「そうだな」
「だがとりあえずはコロニーに向かおう。全てはそれからだ」
こうして彼等はコロニーに向かうことになった。アイビスはその時アルビオンの自室で窓の外を眺めていた。
そこには無限の銀河が拡がっている。彼女は何も語らずただその星の大海原を見ているだけであった。
「アイビス、部屋にいたのね」
そこにツグミが入って来た。
「探したのよ、何処にいるのかって思って」
「済まない、心配をかけたな」
「いえ、いいわ。それより気になるのね」
「ああ」
彼女は友の言葉に頷いた。
「何かね、ネオ=ジオンとなるとね」
「彼女、多分今回の作戦にも参加しているわよ」
「だろうな。あいつのパイロットとしての腕とベガリオンの性能を考えるとね」
アイビスは真剣な顔でそう語った。
「絶対にいるだろうね。そしてあたしに向かって来る」
「けれど、わかってるわね」
「ええ」
彼女はそれに頷いた。
「負けないよ、あたしは。もう何があっても」
「そうよ」
「アルテリオンがある限りね。絶対に負けない」
「ただ、無理はしないでね」
「無理!?」
「ええ。何かアイビスって彼女のことになると人が変わるから」
「そうだろうね」
彼女はそれを認めた。
「あいつのお兄さんのこともあるしね。今はネオ=ジオンにいるんだったな」
「そうらしいわね」
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