第三十五話 冥王、暁に出撃す
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」
しかしここでサコンの顔が険しくなった。
「敵が来ています。これは・・・・・・ミケーネです」
「無粋な奴等だな、やはり」
鉄也がそれを聞いて顔を顰めさせた。
「俺が行きます。奴等が相手ならどれだけいても平気です」
「私も行きます」
「それよりも前に動いているのがいるがな」
「えっ!?」
鉄也とジュンはそれを聞いて驚きの声をあげた。
「それは」
「すぐわかる。だがゼオライマーが危ないのには変わりない。俺達も行こう」
「了解」
「では博士」
「うむ」
大文字はあらためて頷いた。そして指示を下す。
「ロンド=ベル発進。ゼオライマーの救援に向かうぞ」
「はい!」
六隻の戦艦が空に舞い上がった。そして戦場に赴くのであった。二人を助けに。
「終わった・・・・・・。全てが」
マサトはメイオウ攻撃により全てが消え去ったその場で一人そう呟いた。
「もう一人の僕が消え去った。僕は一人になったんだ」
「いえ、一人じゃないわ、マサト君」
美久がマサトに声をかけた。
「私がいるから」
「美久・・・・・・」
「いつも私が側にいるから。マサト君は一人じゃないわ」
「優しいんだな、君は」
マサトはそれを聞いてそう答えた。
「本当に。いや、君だけじゃない」
「私だけじゃない?」
「八卦衆も・・・・・・。皆美しい心を持っていた」
彼はここでこう言った。
「幽羅帝も。皆美しい心の持ち主だった。しかし僕だけが違う」
「マサト君・・・・・・」
「僕が造った皆が綺麗で、どうして僕だけが薄汚いんだ」
マサトは言った。
「何故、何故僕だけが」
「それは違うわ」
だが美久はそれを否定した。
「マサト君」
彼の名を呼んだ。マサト、と。
「人は自分の心の中にないものは造り出せないわ」
「・・・・・・・・・」
「貴方の心の中にそれがあったから彼等を造り出せたのよ。それは違うわ」
「そうなのだろうか」
「ええ」
美久は頷いた。
「貴方は貴方の心の中にあるそれぞれのものを彼等に託したのよ。私にも」
「そうなのだろうか。けれど」
それでもマサトは言った。
「僕は彼等を・・・・・・」
「それも違うわ。見て」
「えっ」
美久の言葉に顔を上げた。前を見た。
「ほら」
そこには彼等がいた。もう一人の自分も。彼等は微笑んでそこに立っていた。
「そして貴方は彼等を壊そうとはしなかった」
「馬鹿な、そんな」
「彼等が彼等の道を見つけられるようにしていたのよ。全てがわかったうえで」
「どういうことなんだ」
マサトは彼等を見てさらにわからなくなっていた。
「何故彼等が」
「貴方は彼等を滅ぼすつもりはなかったのよ。彼等にそれぞれの道を歩んでもらいたかったの」
「けれど僕は彼
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