第三十五話 冥王、暁に出撃す
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第三十五話 冥王、暁に出撃す
朝が来た。一機のマシンが姿を現わそうとしていた。
「行くか」
「うん」
ゼオライマーが姿を現わした。銀色のマシンが暁の紅の光を受けて輝いていた。
ロンド=ベルの面々も沖もゼオライマーを見ていた。彼等はそれを見送る為に出て来ていたのだ。
「行って来いよ」
「そして全てを終わらせて来い」
「はい」
マサトは彼等の言葉に頷いた。沖も声をかけてきた。
「マサト」
「沖さん」
「御前には済まないことをしてきた。許してくれとは言わない。だがこれだけは言わせてくれ」
「いいですよ」
マサトはそれを聞いて微笑んだ。
「僕は。これが運命だったんですから」
「運命か」
「ええ。そしてその運命を終わらせる為に美久」
「ええ」
「行こう」
マサトと美久、そしてゼオライマーは出撃した。何もかもを終わらせる為に。
「来たか」
幽羅帝は鉄甲龍の要塞の中にいた。それは上海から少し離れた荒野に置かれていた。
「木原マサキ、いえ秋津マサト」
はじめて彼の名を呼んだような気がする。何故か憎しみは感じない。
「もう一人の私・・・・・・。いよいよ全てが終わる」
彼女は前を見た。そこにゼオライマーが姿を現わした。
「来たよ」
マサトは優しい声で彼女に声をかけた。
「もう一人の僕に会いに」
「ええ」
帝はその言葉に頷いた。
「いらっしゃい、もう一人の私」
「うん」
マサトも彼女の言葉に頷いた。
「全てを終わらせましょう」
「そう、全てを」
二人は優しい頬笑みを浮かべ合ってそう言い合う。
「運命を終わらせる為に」
「彼の怨念を消す為に」
ゼオライマーはゆっくりと宙に浮かび上がった。そしてその拳を打ち合った。
「さようなら、僕」
「さようなら、私」
帝は最後にそう言った。優しい、落ち着いた頬笑みを浮かべながら。
「上海郊外で爆発を確認しました」
暫くしてロンド=ベルにも爆発が確認された。ミドリがそう報告する。
「そうか、終わったか」
大文字はそれを聞いて瞑目した。
「彼は全てを終わらせたのだ」
「はい」
「自分自身でな。だが辛いことだろう」
「でしょうね」
ミドリがそれに頷いた。
「自分自身を消したのですから。そして彼自身も」
「いや、待ってくれ」
だがここでサコンが広範囲用のレーダーを見ながら言った。
「どうしたんだね、サコン君」
「彼はまだ生きていますよ。無事です」
「何っ、まさか」
「ええ、どうやら無事だったようです。その場にゼオライマーが立っています」
「そうか」
大文字はそれを聞いて少し安堵したようであった。
「彼は生きていたのか。では」
「いえ、まだ油断はできないようです
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