第三十四話 月下の格闘
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も言った。
「君はそのもう一人の君の仮の心に過ぎないのだ」
「じゃあ僕は僕でないんですか!?」
「それもまた違う」
普段のサコンとは違い妙に難解な話であった。
「君は君だ。それは一つの人格だ」
「はい」
「だが、君の中にはもう一つの人格がある。それが問題なんだ」
「木原マサキが・・・・・・」
「彼はどうやらゼオライマーに反応して甦るようだな。その時本来なら君はそこで消え去り完全に木原マサキとなる筈だったのだろう」
「けどどうして」
「それは俺にもわからない」
サコンは首を横に振った。
「彼が何を考えているかまではな」
「そうですか」
「しかし君がいることは事実だ」
「僕が!?」
「そうだ。これが何を意味するのか。確か鉄甲龍の幽羅帝は君と同じだったな」
「そうらしいですけれど」
「彼女と君は木原マサキの分身だ。彼女も今何を考えているのだろうな」
「・・・・・・・・・」
答えは出なかった。マサトは今自分が袋小路の中にいるのだと思っていた。
「帝」
ルラーンが幽羅帝に声をかけてきた。
「わかっている」
彼女はそれに静かに答えた。
「八卦衆、全滅したな」
「はい」
「・・・・・・全ては木原マサキの為に」
「いえ、それは違います」
「何っ!?」
ルラーンの言葉を眉を動かした。
「それはどういうことだ」
「貴女の為にです」
「私の為に、か」
それを聞いて哀しい顔になった。
「そうかも知れぬな、私が戦場に送り出したのだから。私が行けば」
「いえ、そうではないのです」
ルラーンはまた否定した。
「貴女は・・・・・・木原マサキなのです」
「馬鹿な」
帝はそれを聞いて言葉を震わせた。
「それは一体どういう意味だ」
「貴方と秋津マサトは・・・・・・木原マサキのクローンなのです」
「嘘を申せ!」
「いえ、残念ながら」
ルラーンは首を横に振った。
「これは真実です。木原マサキは己が野心の為に自らのクローンを二人置きました。日本と鉄甲龍にそれぞれ一人ずつ」
「それが私だというのか」
「はい」
ルラーンは答えた。
「貴女は木原マサキのクローンであり、もう一人の秋津マサトだったのです」
「では私は木原マサトの分身か」
彼女は呆然とした声でそう述べた。
「はい。私が貴女に仕えてきたのは貴女を殺す為でした」
「木原マサキへの憎しみ故か」
「最初はそうでした。あの男はこの世にいてはならない」
「では私も」
「それもまた違います」
しかしルラーンはそれも否定した。
「どういうことなのだ。私は木原マサキなのだろう?」
「はい」
「では憎いのではないのか、私が」
「私は確かに木原マサキは憎い。しかし貴女は」
「私は」
「あまりにも美しい。そして
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