第67話 霊帝の勅命
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しては、陛下の権威が損なわれます」
張讓が横槍を入れてきました。
「張讓よ、何故だ」
「仮にも、陛下は盧北中郎将を職務怠慢の罪で牢にいれたのです。それが朝礼暮改では臣への示しがつきませぬ。彼女には申し訳ありませんが、逆賊の討伐が済むまで牢にて形だけでも謹慎していただくべきかと存じます。もちろん、罪人としての待遇ではなく、女官達に相応の待遇で世話をさせれば、彼女とて陛下の胸の内を理解してくれるものと存じます」
張讓は意味不明なことをもっともらしく言っていました。
「陛下、盧北中郎将は罪を犯しておりませぬ。罪無き者を形だけとはいえ、罰するのは如何なものかと存じます」
私は張讓の上奏を批判しました。
「劉ヨウ、そち言い分も最もなれど、朕は張讓の上奏を採用しようと思う。張讓、盧植がいない以上、誰が冀州の逆賊を討伐するのだ」
張讓は私の一目見て、一瞬趣味の悪い笑いをしました。
「陛下、ここには賊を恐怖せしめる者がおりますではありませぬか?彼の者を盧北中郎将の代わりに立てればよいと存じます」
「ほう、彼の者とは誰だ?」
「劉司隷校尉でございます」
張讓はいけしゃあしゃあと私を推挙しました。
彼が私をこの洛陽から追い出したいのは前々から知っていましたが・・・・・・。
「劉司隷校尉は宮中に入る前は、諸国を周り山賊や盗賊を数多の数討伐してまいりました。彼ならばきっと陛下に仇名す逆賊共を見事討ち果たすものと存じます」
張讓はうやうやしく頭を垂れて言いました。
「うむ・・・・・・。劉ヨウ、今回の左豊を弾劾せし功を加味し、左将軍・冀州刺史に任じる。四万の軍を預ける故、現地の兵と合流し逆賊を見事討ち果たせ。将軍任命の儀式の日取りは急ぎ伝える故、屋敷にて待機せよ」
霊帝は私に威厳に満ちた声で勅令を下しました。
「はっ!この劉正礼、慎んで拝命させていただきます」
左将軍と冀州刺史を兼任ですか・・・・・・月華の件の口止め料込みにしては少々大盤振る舞いな気がします。
「へ、陛下、お待ちください!劉正礼殿を左将軍に任じた上、刺史を兼任させるのは問題でございます」
私が霊帝の勅命を黙って聞いていた張讓は慌てて霊帝に言いました。
「張讓、黙れ!朕の決めたことに異を唱えるつもりか!」
霊帝は張讓を怒鳴りつけました。
「め、滅相もございません!」
張讓は霊帝に平伏しながら謝罪をしましたが、彼は横目で私を悔しそうな目で睨んでいました。
霊帝は何を企んでいるのでしょうね・・・・・・。
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