ユクモ村にて自己紹介と……
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な瞳の大きな眼が印象的な整った顔立ちで、普通の男なら『綺麗な娘』だな……と思うだろうが、生憎とヴォルフはその辺にとことん疎い。マトモな人付き合いなど皆無だった彼にとって他人など皆同じ顔に見えてしまう。付き合いがなそれなりにあって、ようやく個人の識別が可能なくらいだ。
「神無ちゃんの姉の夏空(そら)です。宜しくお願いしますね〜ヴォルちゃん」
姉妹なのか顔立ちは神無に似てはいるもののタレ目が印象的で、臀部まで届く黒髪を襟足で結んだ女性がおっとりした性格を思わせる、実にのんびりとして口調で自己紹介する。彼女もまた普段着らしい桃色の着物に着替えている。
物腰が穏やかそうな雰囲気で虫も殺せなさそうな感じだ。
「……三女の小冬(こふゆ)。宜しく」
腰まで届く柔らかそうな黒髪を両側頭部で縛った小柄な少女が自己紹介する。彼女は姉二人と違って着物ではない。フリルの付いた柔らかそうな黒い服とスカートを着ている。
この少女も美人ではあるが、姉二人のように柔らかな雰囲気は無い。軽く吊り上がった大きな目は寧ろ硬質的な雰囲気を持っている。
「ヴォルフ・ストラディスタだ。宜しく」
ヴォルフ自身は慣れていないので多少ぎこちなかったが、自己紹介する。
簡潔ではあったが、うち二人は嬉しかったのかニッコリと微笑み、後の一人は特に感慨が無いのか無表情だ。
村長のいた売店前で一旦別れたヴォルフたちは旅館前に集合していた。何でも、彼女達がこれから道案内してくれるらしい。
「えっと、まずはここね。温泉旅館。旅行や湯治目的に訪れるお客さんが泊まる場所なんだけど、ハンターギルドの集会場でもあるんだよ」
神無が目の前の大きな建物を指して言った。
ユクモは温泉による湯治を名物としている村だ。
神無の言葉通り、この建物は村長が女将を勤める温泉宿であり、ここがハンター達の集いの場である集会場も兼ねている。そこを中心として、雑貨屋や武器屋に加工屋、食料等を売る商店街が存在し、それらを囲むように住宅街が存在する。
村というよりは町と読んだ方が良い位の広さだ。
そんな説明を受けながら、四人は町を歩く。行く先々ですれ違う人々がヴォルフを珍しそうに見る。この村の住人たちと同じような服装はしていても、見覚えの無い顔は目に付くようだ。
そんな時に、威勢の良い老人の声が聞こえた。
「おう! アオアシラにドスジャギィを倒すとはお前さん達も腕を上げたのう!」
子供程の背丈の、小柄な竜人と思わしき老人だ。大きな金槌を肩に担いでいる。その金槌は大の男が持てば様にはなるだろうが。こんな小柄な老人が持つには不釣合いだ。だが、彼はそれを掌の上で玩んでいた。恐ろしいほどの怪力だ。
「いえいえ。これは私達ではなく、ヴォルちゃんがやってくれた事で……」
「うん?」
老人は夏空の
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