ユクモ村にて自己紹介と……
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れらは貴女達に所有権が移っていますからねえ。加工注文をしないといけませんわよ?」
「わかりました。ではまた後で〜。ヴォルちゃん? また後でね〜」
「また後でね、ヴォル君」
「……」
「ああ」
三者三様にこの場を去っていく。内二人は血を浴びてしまっている為、身体を洗うのに時間が必要だという事はヴォルフにでも分かった。
「さて、ここからが本題でもあります。ハンターとしての貴方個人には関係ありませんが、ヴォルフ・ストラディスタとしては関係のあることですわ」
村長が不意に声を落としてヴォルフに話しかけてくる。先程の諭すような雰囲気よりも、今の彼女が纏う雰囲気は重苦しかった。
重要な話をすることを理解したヴォルフは、改めて村長に向き直った。
「実はあの娘たちは、両親を失っているのです」
村長から唐突に告げられた言葉に、ヴォルフは眉根を寄せた。
モンスターによって命を落とす者など珍しくは無い。それは誰であろうと例外は無い。
だが、先程出会ったばかりの者……正確にはこの村の出身者だろうが、長い事村を離れていたのだから余所者同然である……そんな話を聞かせる事に、ヴォルフは訝しんだ。
「貴方がこの村を、お父様に連れられて出て行ってから一年が経とうとする頃の事ですわ。小冬はまだ一歳にもならない頃ですわね。あの日の夜、救助信号の狼煙が上がりましてハンター数人が救助に駆けつけましたが、間に合いませんでした」
その間に合わなかった犠牲者が彼女達の両親なのだろう。
「現場は巨大な何かが暴れたかのような無残な有様で、犠牲者の遺体は手首と足首が片方ずつしか残っていませんでした」
ヴォルフは、その無残な事態は今更ながら見慣れていた。特に酷かったのはティガレックスの顎(あぎと)の餌食になった者や、フルフルに丸呑みにされながら消化途中に吐き出された者だ。
小型鳥竜種の群れに食い荒らされた方がまだマシなくらいだ。あの三姉妹の両親を襲ったのもそういう凶暴且つ凶悪な類なのだろう。
自分自身は生き残ってきたものの、生き残れなかった者はその運命を辿る。遅いか早いかの違いでしかない。
「ただ、その場の近くでジンオウガの咆哮を聞いた者がいるのです」
ヴォルフの脳裏にあの碧の牙竜の姿がよぎった。あの誇り高い孤高の咆哮の持ち主……それが繰り出した前足の一撃の威力。確かにアレとやり合えば死体なんて残る方が奇跡だろう。
「つまり、それはジンオウガの仕業だと?」
「確証はありませんが恐らくは……」
村長はそこでお茶を飲んで会話を止める。そして、ヴォルフにも別の湯飲みにお茶を注ぎ、先程食べられなかった薄桃、白、緑の三色団子を二本勧めてくる。
「それからあの娘達は三人で協力し合って生きてきました。村の者達も事情を理解しているので力になってきましたが……
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