ユクモ村にて自己紹介と……
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か。妙な息苦しさを覚える。
「取り敢えず回収班を呼ぶニャ! 狼煙を上げるから、そっちは後で宜しくニャ!」
トラとか呼ばれたアイルーが耐えられなくなったのか、枯れ木を集めつつ薬瓶を取り出した。
仕留めた獲物を回収する専門の連中を呼ぶ為の薬だ。焚き火の薪にあの薬品を塗って燃やすと蒼い煙が出る。これが回収の合図であり、これが上がればモンスターの体を乗せる為の台車を引っ張った連中がそこへ駆けつけるようになっている。
問題を後回しにしているだけだが、少なくともこんな所でするような話ではない。トラからはそんな心遣いが感じられた。
話は後回しにして、俺達は仕留めたアオアシラとドスジャギィを台車に乗せて、ユクモへと戻った。その道中は無言であり、気まずい物があった。
「やい! 何だお前は?」
村に着くなり変な奴に絡まれた。
焦げた茶色の髪を刈り込んだ、少年にも見える童顔の男だ。金属の鎧を着ている辺りハンターなのだろう。その証拠に、背中には見覚えのある太刀を背負っている。ハンター達が用いる一般的な太刀だな。
「……」
「何とか言ったらどうだ?」
男がドスを効かせた声で言いつつ睨みを利かせた顔で見上げてくる。
「正太郎さん。この人は……」
「姫さんは黙っててくれや! おうおう。何なんだお前?」
「ばか」
剣の少女が諌めようとするも男は聞きもせずに俺に突っかかるのを辞めない。それを小冬が小さい声で罵倒する。
「村長から聞いてないのか? 俺は……」
「名を名乗るのなら自分から名乗れと!? おうよ! 名乗ってやろう! 俺の名は……」
……鬱陶(うっとう)しい。斬り捨ててやろうか?
「この村の村長の遠縁にしてこの村の門番! ユクモに無双の刃ありといわれた男! 小野寺(おのでら)正太郎(しょうたろう)だ!」
大袈裟な名乗りを上げる男を前に俺はどう対応していいのか分からず後にいある三人の少女達に視線を移す。
微笑ましく見ている者。困ったなぁ……と言わんばかりに苦笑している者。眼中に無いと溜息混じりに明後日の方向を見る者。
どうやらこの男の奇行は日常茶飯事らしい。面倒な奴だ。
「さあ! 名を名乗れ!」
「……」
無性に、名前を言いたくない。そんな気持ちが俺を支配する。この殺意にも似た感情は何だろう? 最早関わり合いになりたくない。故に告げる言葉は一つ。
「退け」
「なにぃ?」
俺の言葉に男は大袈裟なほどに目を見開いて言った。
「もう一度言う。退け」
「ちょ、ちょっとヴォル君!」
剣の少女が前に出て来る。
「か、神無(かんな)嬢! いけねえ! コイツは……」
「正太郎さんは黙ってて! ヴォル君。ここは私達が言って置くから、村長さんの所へ行って。ね?」
俺はそんなに殺気立ってい
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