4/14 謎の生物と場所
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干、キモイ。
クマは床をその短い足で数度叩くと、3つに重なったテレビが出現する。
「んだこりゃ!?」
「テ、テレビ!?どうなってんの!?」
テレビ画面側に回り込むと、その後ろからクマが強引に押し始める。
「さー、行って行って、行ってクマ。ボクは、忙しいクマだクマ」
忙しいクマって、どんなクマだよ。…あっ、こんなクマか。
気が付くと、俺たちはジュネスの家電売り場に戻っていた。
あの、大型液晶テレビの前だ。
「あれ、ここって…」
「戻って来た…のか?」
「そうみたいだな」
その時、店内にタイムサービスを告げる放送が流れる。
朝採り山菜セットだと!?
「げっ、もうそんな時間かよ!」
「結構長く居たんだ…」
「そうか…。思い出した、あのポスター…。ほら、見ろよ。向こうで見たの、あのポスターだろ!」
「“柊 みすず”か…。不倫騒動で騒がれている、旦那がこの前の山野アナと不倫してたとか」
「おい、じゃあ何か…?さっきのワケ分かんない部屋…。山野アナが死んだ件と、何か関係が…?そういや、あの部屋…。ヤバい“輪っか”がぶら下がってたりしたけど…」
訪れる沈黙。一瞬の静寂。
「わー、わー、やめやめ!おい、やめようぜ、この話。つか、今日のことまとめて忘れることにするね、俺。何か、ハート的に無理だから、うん」
「今日はもう解散しよう。話すのは、また明日にでも」
「だな。そうすっか。気分も悪いし…」
陽介の言葉を最後に、今日はこれで解散となった。
山菜セットを買いに行きたかったが、俺の体調もよくなかったので泣く泣く変えることに。
主夫か、俺は…。
家に帰ると、数日ぶりに叔父さんが帰っていた。
「おう、おかえり」
「おかえりなさい」
「ただいま」
叔父さんと菜々子の目の前には、インスタントのラーメンが置かれている。
俺はいつもの場所に腰を下ろすと、叔父さんが迷いながらも口を開いた。
「あー…のな、まあ、知らんとは思うが…。小西早紀って生徒のこと…何か聞いてないか?」
「今日は休んでるらしいけど」
「ああ、そうなのか…。実は…行方が分からなくなったと連絡があってな。ウチの連中で捜しているんだが、まだ見つからない…」
行方不明、か……。
「はぁ…。仕事が増える一方でな…」
そしてテレビのニュースでは、亡くなった山野アナが“天城屋旅館”に泊まっていたことなど、コメンテーターがその話に喰いついて間接的に雪子の話をした。
仕事しろよ……。
続けての天気予報では、雨足は徐々に弱まってきているが、朝にかけて霧が出やすい状況になっているらしい。
「ラーメン、もういい?」
「まだ早いだろ」
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