第14話 スレイプニル
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ワァーワァーワァー
目の前で民衆が歓声を上げている。
それもそうだろう。この街を牛耳っていた教会が陥落し、捉えられていた女の子達が解放されたのだから。
皆さんごきげんよう、シルヴィアよ。
声をかけてくる民衆を適当にいなしながら、私は恋人と共に路地へと引っ込む。
「そろそろ潮時ね・・・」
「なに?」
私の言葉に、恋人兼義妹のエヴァは首をかしげる。
うむうむ、今日も可愛いなぁ、と思いつつ話を続ける。
「ヨーロッパ全土の主要な・・・というよりほぼ全ての教会は襲撃を終えたわ。」
「まだローマの総本山が残っているだろう?最後にあそこを攻めるために残していたのではないのか?」
「ローマにはもうほとんどお宝は残ってないのよ」
「はっ?」
私の言葉にぽかんとするエヴァ。まぁ、普通ならそう反応するだろう。
「私たちの襲撃で崩壊した各教会の修繕にその有り余る財のほとんどを放出したから。せめて支配地域の維持だけはしたかったのでしょうね・・・ばらまいた財は教会の修繕費として民衆に渡る。まぁ、それを見越して再襲撃をしなかったのだけれど」
「つまり・・・」
「私たちが周りを襲撃していけば、自然とローマ総本山は疲弊して堕ちるとわかっていたから。事実ローマでは残りの財を巡って内部抗争が激化。もう終わりね」
「なんともつまらん幕引きだな」
本当につまらなそうに吐き捨てるエヴァ。
それにしてもこれからどうするべきか。
騎士団を結成して約50年。今は16世紀の始め、1500年。
もうエヴァと出会って100年も経ったのね・・・何となく感慨深いわ。
騎士団の規模も拡大し、今や500人にまで膨れ上がった。
まぁ予想外なのは、騎士団に入ってから離脱した娘があまりに少ないということ。
・・・ドウシテコウナッタ
まぁ、冗談はさておき、私とエヴァの修行も順調。
上級魔法までは習得し、魔法具・人形遣いのスキルも着実にレベルを上げている。
剣術・体術もそれなりにはなってきてる・・・はず。
私に至っては、エヴァから魔力糸を習った。
この魔力糸は人形遣いの基本スキルで、文字通り魔力を糸状にしたもの。
これで人形を操るのが基本なのだけど、この魔力糸、捕縛・斬撃・打撃等、魔力の込め方で応用が効く万能スキルだった。
身内の力としては申し分ない域まで達しているが、こと財力という点ではまだまだね。
それでも、私たち全員が一生豪遊できるだけの資金は有にあるけども。
弱者(自称正義を掲げる下衆)を踏み潰す絶対強者(魔王様)を目指す、悪の魔法使いとしてはまだまだ物足りない。
何かいいネタはないかなーと思いつつ、眼下の街を見下ろし物思
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