第12話 2つの世界
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のが、すずかちゃんだったんだ。
そしてその後に起こった“とある事情”を、【ニカイア】とアプリの力で解決して、今純吾は忍の家に住むことになったんだ」
恭也がそう締めくくると、部屋の中は先ほどとは違う重苦しさが支配した。あまりに信じられない事が立て続けに起こりすぎて、誰もどうしたらよいか分からなかったのだ。
「それじゃあ、あの大きな人が……悪魔、なの?」
そんな中、美由希が躊躇いがちに純吾へと質問をした。純吾がそれに返そうと口を開くが、リリーがそれを遮って話し始めた。
「そう、マハカーラは【魔神】っていう高位種族の一柱よ。日本だったら大黒天っていう名前で伝わってると思うけどね。そして私は――」
バサァッ、と蝙蝠のような翼が背中から現れ、リリーが宙に浮かぶ。目の前の少女から突然翼が生えた事に驚いて固まってしまう高町家の面々へ、リリーは三日月のような薄笑いを口元に浮かべ彼らの方へ宙を遊泳した。
「そして私は【鬼女】リリム。アダムとその最初の妻リリスから生まれたとされる夢魔で……悪魔よ」
固まったままの美由希の顎を後ろからつるりと撫でて、艶花のような笑みを見せた。
その行為に、「ひぃっ…」と声にならない悲鳴をあげた美由希を後ろにして、リリーはそのまま見せつけるように空中でゆっくりと宙返りをするように体を一回転させて元の席についた。
「君は…いや、君たちは一体何が目的なんだ」
士郎が落ち着いた声色で、しかし表情を鋭くして純吾達に話しかけた。彼は今まで御神流の剣士として様々な経験をしてきたが、その経験が彼女を非常に危険なものだと警告を鳴らし続けている。
今は自分の家で守るべき家族が近くにいる。彼女という脅威をどこまで遠ざける事ができるか分からないが出来る限りの抵抗を……、そう考えていると
「何って…。なのは、助けたこと?」
純吾がきょとんとした不思議そうな顔で答えた。その顔に、士郎が一気に毒気を抜かれてしまう。
「あらあら。私たちが何してたかなんて、動画と今の状況を比べたら一目瞭然でしょ?」
「いやリリーさん、あんな事して置いて警戒しない人なんて絶対にいないぞ。
それと父さん。彼は俺が認めそして鍛えている、俺の弟子だ。絶対に邪な事を考える奴じゃないさ」
「ベーっ」と舌を出しているリリーをなだめると、恭也がそう純吾の事をかばった。
「あ、あぁ。確かに、なのはは生きて、こうして戻ってきてくれたんだ。
……ありがとう、純吾君。君がなのはを助けてくれなかったら、俺たちは」
そう士郎が純吾に言い、頭を下げた。それと同時に、若干顔色の悪い美由希をかばうように桃子も頭を下げる。
「師匠と、モモコにお世話になってるから、いい」
高町家の面々に礼を
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