第12話 2つの世界
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場所は変わってなのはの家の前。
「で、どうしてなのはと一緒にいるんだ、純吾、すずかちゃん。それに…」
今、高町家の玄関先に仁王立ちのまま能面のような無表情で立ちはだかり、感情を無理やり押さえこんだかのような喉の奥から絞り出した声で純吾達に話しかけている。
しかしそんな無表情は長くは続かなかった。純吾の後ろに目線をやった瞬間、ビデオの早送りのようにもの凄い渋面に変わったのだ。
「あらぁ? キョーヤは、私に会いたくないっていうの」
純吾の一歩後ろには、リリーが立っていたのである。彼女が純吾の後ろからニヤニヤとしてそう恭也に尋ねる。
「恭ちゃん、なのは帰ってきた〜…… あら?恭ちゃんこの子たちは?
って、後ろの美人さんは何? いつ知り合ったの!?」
その時恭也にとっては折悪く、恭也の妹で、なのはの姉である美由希がひょっこり玄関から顔を出してきた。リリーを見て、玄関先から覗かせた顔が驚きに眼を開く。
「い、いや知らん! 俺は何も知らんぞ!」
「酷い、私の事は遊びだったのね!」
「恭ちゃん! 忍さんがいるのに何他の女の人に手出してんのよ!?」
突然の詰問に、恭也は咄嗟に最悪の答えを口走ってしまった。
その恭也の返答を聞いて、ヨヨヨと顔を手で覆い泣き崩れるリリム―――その実、隠れていない口元は獲物がかかったと三日月に歪んでいたが―――と、それを見て掴みかかるような勢いで美由希が恭也に迫っていく。
「話…、進まない」
「うん…。リリーさん、恭也さんからかってる場合じゃないと思うんだけど」
「にゃはは。だから、お兄ちゃん最近すずかちゃん家の事話したくなかったんだね」
そんな兄妹と、仲魔の修羅場な三文劇を純吾は困ったように見つめ、呆れたようにすずかは呟く。
そしてなのはは兄の最近の様子―――すずかの家の事を聞いたら、何故か青ざめて冷汗をかき始める―――に納得のいった様子だ。
しかし誰も仲裁に行こうとはしなかった。目の前のやり取りは渾沌と化しており、ただ見る事しかできないのである。
「全く、リリムの性格も考え物ですな。自身の愉悦より優先するべき事があるというのに」
そんな純吾の更に後ろ、玄関からの光が届くかどうかの所に立っていたマハカーラが何本もある腕を組みながらしみじみと言う。
ふとその声に気がついたのか、美由希は恭也の襟首を掴み彼の頭を揺すっていた手を止めて玄関の先を見た。
「ん、どうなされた娘御」
そこには、自身の2倍は優にあろうかという青い肌の巨人。
「えぇ!! 恭ちゃん恭ちゃん何あの人、っていうか人!?」
美由希が今まで以上に恭也の首をガックンガックン前後に揺らし始めた。目の前の女性に目を奪われていた彼女に
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