第3章 白き浮遊島(うきしま)
第22話 ギトーの災難
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物を使用してくれたか?」
唐突にしては、前の時のような挙動不審な雰囲気も発せずに、そう澱みなくタバサに対して問い掛ける事に成功する俺。タバサに見つめられる事に対して、大分、耐性が付いたのと言う事なのでしょう。
それに、可能性としては、この可能性が一番高いとは思いますからね。
ましてこの状態回復魔法と言うのは水の乙女や、森の乙女なら行使可能な魔法です。確か花神の方にしても、似たような魔法を持つ個体は居たような記憶も有りますしね。
しかし、俺の問いに首を横にゆっくりと二度振るタバサ。これは否定の意味。
成るほど。それにしても、この彼女の首を横に振る仕草と言うのは、妙に可愛いな。
「貴方が動けなくなっていたのは、ほんの一瞬の間。わたしには、その間に貴方が何かの魔法の影響下に有った事は判らなかった」
そして、少し申し訳無さそうに、そう小さな声で囁くように続ける。
……そう言えば、この娘は少し生真面目なタイプの娘でしたか。あんな聞き方をしたら、俺を助けなかった事を非難しているように感じたとしても不思議では有りませんでした。
「いや。それなら、それで問題はないんや。そもそも、不用意に相手の術の効果範囲に入った俺が悪いんやから、タバサが気に病む必要はない」
つまり、あの場での行動で、ルイズを助ける事は、俺の優先される行動順位では二番目以下で、タバサに危険が迫ると思った瞬間に、相手の呪縛から脱する事が出来るほどの気を発生させる事が出来たと言う事ですか。
これは、俺には正義の味方の資質はないし、万人に愛を説く宗教家に成るのも不可能と言う事なのでしょうね。
少なくとも、護るべき者に順位付けを行う段階で、正義の味方からは外れて仕舞って居ますから。
其処まで考えてから、少しの違和感に気付く俺。
そう。それはあの時の才人の状況。確か、あの時の才人は、何故かルイズに危険が迫っているとは感じてはいなかったみたいなのですが。
もっとも、彼の方から見ると、ルイズと踊っていたのは俺で、ダンスが終わった時にルイズと一緒に居たのも俺なのですから、危険と判断しなかったとしても不思議では有りませんか。
確か、彼には気を感知する能力は付加されて居なかったはずですから、あの二重存在が放っている鬼気を感知出来なくても不思議では有りません。
あの夜は、魔法使い達が一世一代の覚悟を決めてパートナーとダンスを舞う夜。其処に渦巻く呪力は、俺の感覚さえ狂わせるほどの物でしたから。
其処まで考えてから、ふと視線を移すと、其処には我が蒼き御主人様が俺の方をじっと見つめたままで動こうとはしていなかった。
これは、彼女が既に食事を終えられて居て……。
……って言うか、さっきの質問に答えた際には、もう食事
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