第3章 白き浮遊島(うきしま)
第22話 ギトーの災難
[13/13]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
しますから。
「いや、今日の授業は以後、すべて中止と決まったのです」
教壇の中心……つまり、現在、ギトー先生と俺が立っている付近に向かって歩み寄りながら、そう告げて来るコルベール先生。
しかし、少し急ぎ足で移動しようとし過ぎたのでしょうか。それとも笑いの神が彼こそ、真の最強のリアクション芸人で有ると微笑み掛けたのか。何もないはずの教壇への道のりで、何故か躓いて仕舞うコルベール先生。
「おわっと」
両手で危うくバランスを取り、何とか、歌舞伎役者が見栄を切るような仕草をして、無様に転んでしまう事は防いだコルベール先生では有ったのですが、再び真っ直ぐに立って生徒達の方を向いた時には、頭の方が、非常に残念な状態へと移行して仕舞っていました。
「滑りやすい」
自らの方に飛んで来たふさふさの金髪かつらを一度見つめ、そして徐に、普段通りの短く、簡潔な言葉で、その非常に残念な状態となって仕舞ったコルベール先生の頭を表現する俺の蒼き御主人様。
確かにそれは事実なのですが、武士の情けと言う言葉は、この世界には無いのでしょうか。
再び、爆笑に包まれる教室内。矢張り、真に笑いの神に愛されているのは、ギトー先生では無しに、コルベール先生の方だったと言う事ですか。
「黙りなさい! ええい、黙りなさい、この悪童どもが!」
コルベール先生が顔……何処から何処までが顔の範疇で、何処からが頭なのか、イマイチ判り辛い御方なのですが、少なくとも、今は顔から頭のてっぺんまで、全て真っ赤にしたゆで蛸状態で、大きな声で怒鳴り始める。
そして、
「大口を開けて下品に笑うとは、まったく貴族にあるまじき行いです!」
最早、ゆで蛸なのか、コルベール先生なのか判らない状態で、ブチ切れまくっている先生。しかし、どう考えても、今のセンセイのキレ具合の方が、貴族に有るまじき行いだと俺は思うのですが。
それにしても……。
本当に、コルベール先生は、一体何をしに来たのでしょうかね。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ