第3章 白き浮遊島(うきしま)
第22話 ギトーの災難
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間ですから。自らが望んでいた最強の称号ですから、彼もきっと満足しているでしょう。
そう、その時は思ったのですが……。
しかし、俺のその評価が誤っていた事が、その直後に知らされる事と成るのですよね、これが。
矢張り、世界は狭いようで広いと言う事なのでしょう。俺の知らない、優秀な人間はその辺りにごろごろして居るし、磨けば光る原石も幾らでも存在している、と言う事です。
俺的に最強のリアクション芸人の称号を得たギトー先生が、爆笑の渦に包まれた教室内を凄まじい形相で睨み付ける。
しかし、その程度の事で、教師の威厳など取り戻す事など出来る訳もなく、今度は素直に俺の差し出した手を取って立ち上がるギトー先生。
流石に、この二度の転倒に関しては、自らの不注意としか考えられませんからね。少なくとも、教室内で魔術師の杖を握っている生徒はキュルケしかいません。しかし、彼女がルーンを唱えた様子は有りません。それに、二度までも転倒した自分に対して手を差し伸べてくれた相手を無視するのは、流石に紳士として恥ずべき行為だと思った可能性も有りますしね。
俺が差しのべた手を取り、立ち上がったギトー先生。それならば、今日のトコロはこれぐらいで勘弁して上げましょうか、と思った矢先、突然、教室のドアが開く。
そして、そこには、やや緊張した面持ちのコルベール先生が立っていました。
もっとも、そこに立っていたのはコルベール先生と言うよりも、ハルケギニアのモーツァルトか、バッハと言う珍妙な出で立ちの先生では有ったのですが。
「ミスタ・ギトー。今は授業中のはずですが、何を為さっているのです?」
しかし、自らの珍妙な出で立ちについては棚に上げて、ようやく立ち上がったばかりのギトー先生に対して、そう聞いて来るコルベール先生。
……って言うか、中世のヨーロッパでは正装として用いられていたカツラを頭に乗せているのは、まぁ、武士の情けとしてツッコミはしませんけど、その妙に派手なレースや、刺繍が施されているローブは一体何事ですかね。
少なくとも、教壇の上で手を握り合ったまま、茫然と教室に入り込んで来た貴方を見つめる俺達の方が余程自然だと思うのですが。
「それはこちらの台詞です、ミスタ・コルベール。貴方こそ、私の授業を何の権利が有って妨害する心算なのですか」
俺の手を放した後、一応、表面上は冷静に対応するギトー先生。ただ、何故か彼から感じる雰囲気は、少しの安堵の色を帯びている事を感じる事が出来たのですが。
おそらくこれは、先ほど、何もない教壇でバランスを崩して二度も転んだ無様な自らに対する生徒達の記憶を、この珍妙な出で立ちのコルベール先生が吹き飛ばしてくれると思ったのでしょうね。
それに、俺も、その意見に賛同
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