第3章 白き浮遊島(うきしま)
第22話 ギトーの災難
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とそう言いたいのかね」
……って、おいおい。この先生、今度は、俺に対して噛みついて来ましたよ。
これは、風は風でも、暴君ブレスなどではなく、陰険シロッコと言う感じですか。
「これは、私の言葉が足りなかったようです。
ここに来て日が浅い私には、風が最強の魔法かどうかは判りません」
……って、俺もいい加減、大人になるべきなんですけど、流石に、このインケン男の相手をするとムッと来るみたいです。
但し、話を始めた以上、簡単に後ろには引けないですかね。
元々、退く心算もないですけど。
「少なくとも、先生の魔法は、最強とは程遠い代物だと、言った心算なのですけどね」
俺の台詞が終わる前に、杖を振るおうとするギトー先生。
しかし、その刹那。
「ぐげっ!」
非音楽的な声を上げ、無様にその場にひっくり返る先生。その様を見て、教室内に少しのくすくすという程度の笑いが起きる。
本当は爆笑したいのですが、流石に俺に向かっているギトー先生の怒りが、自分の方に向かって来るのはヤバいと思ったのでしょう。
「おや、先生は、昨夜のお酒がまだ残っていたようですね」
ゆっくりとギトー先生の傍に近付いて行って、手を差し出す俺。
しかし、その差し出した俺の手を、親の仇を見つめるが如き視線で見つめた後、自らの手と足を使って立ち上がるギトー先生。
そして……。
「命拾いをしたな、使い魔」
そう言った瞬間、再び、仰向けになって転んで仕舞うギトー先生。
こいつ、学習能力はないのでしょうかね。
そもそも、俺は青龍。風を呼び、雲を掴んで大空を翔る存在。
震にして巽の存在。その俺に風系の魔法は無意味……ドコロか、その自らが行使しようとしている魔法自体に介入される危険性も有ります。
もっとも、今やっているのは、そんな面倒な事では有りませんが。
今、行っているのは……。
俺の生来の能力は、雷を操る事と、もうひとつ。重力を自在に操る能力が有ります。
俺が空を自在に翔けているのは、自身が風の精霊を纏っている訳などではなく、重力の軛から自らを解き放つ事が出来るから。
つまり、このギトー先生が無様に転び続けているのは、彼に掛かっている重力を別の方向に傾ける事によってバランスを崩してやっているから。
それに、少々の魔法抵抗など、俺の生来の能力の前では無駄。少なくとも、俺の正体と、その能力が判らない限り、人間には抵抗する事は不可能でしょう。
尚、再びのギトー先生の転倒によって終に我慢し切れなくなった教室内が爆笑の渦に包まれる。
これで、このギトー先生も本望ではないのでしょうか。
何故ならば、この瞬間が、彼が最強のリアクション芸人の称号を手に入れた瞬
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