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蒼き夢の果てに
第3章 白き浮遊島(うきしま)
第22話 ギトーの災難
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生者の境界が弱くなるヴァルプルギスの夜の前後に、フェニックスの再生の儀式が行われ、俺が、自らの死と関係の深いドッペルゲンガーに出会うなどと言うイベントが立て続けに起こると言う事自体、偶然とは思えないのですが。

 まぁ、それでも、ヴァルプルギスの夜に、不思議な事が起きても仕方がないですか。シェークスピア作の真夏の夜の夢も、一説に因ると、ヴァルプルギスの夜に起きた出来事だと言う話も有りますからね。

 其処まで考えてから、俺は、自らの対面に座り、何時も通りの透明な表情を浮かべたまま、それでいて恐ろしい勢いでテーブルの上に並べられた英国風の朝食を消費してくれている蒼き姫を見つめる。

 一応、食事に関しては、かなりの頻度で俺が準備する事を許して貰いました。もっとも、これは俺の我が儘なのですが。
 矢張り、俺には、ここの食事は口に合いませんでしたから。

 尚、食事の際に本来なら使用人が主と同席する事など許されるはずもないのですが、俺は彼女に取っては、使い魔……と言う感覚を持っているかどうかも怪しい、魔術の師匠的な立ち位置に置かれているらしい人物なので、食事の時も当然、同席する事を求められています。

 もっとも、その辺りに関しては、今はどうだって良い事ですか。それに、一人で食べる食事ほど味気ない物もないですから。

 そして、これが一番判らないのですが、何故か俺がタバサの気配を背後に感じた瞬間に、身体が動くように成った事。

 それまでまったく身体が動かなかったのは、おそらく、俺がウカツだった所為で邪視の類の魔術の影響下に有ったんだと思いますが……。
 しかし、タバサの気配を感じた瞬間に、それまで身体を縛り付けていた何かから解放されてスムーズに動くように成り、かなりタイミング的にはアレでしたけど、ルイズを正体不明の存在から助け出す事が出来たのですが……。

 俺が、じっと見つめて居る事に気付いたタバサが、同じようにこちらを見つめ返す。
 ただ……。宇宙(そら)の蒼を思わせるその瞳に見つめられると、妙に落ち着かなくなるから、出来る事なら止めて欲しいのですが……。

「えっとな、タバサ、ひとつ質問なんやけど……」

 もっとも、落ち着かなくなるから、真っ直ぐに見つめてくれるな、と言う訳にも行きません。特に今回に関しては、そもそもが俺の方から彼女の事を見つめていた事に問題が有るのですから。
 そう思い、苦し紛れにそう問い掛ける俺。しかし、最近、こんな事ばかりが続くな。

 俺の問いに実際の言葉にして答えを返す事は行わなかったのですが、ひとつ首肯く事によって答えと為したタバサ。これは肯定。

「フリッグの舞踏会の夜。あのドッペルゲンガーが何かをして俺が動けなくなっていた時に、タバサは俺に対して状態回復魔法のような
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