第八話
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だ。
経済効果はトリマ家に富をもたらすのみならずフルント星社会全体に大きな波及効果をもたらしたが、その多くが軍事関連に流れ込んだ事実が事態の深刻さをエルシャンに知らしめる事となった。
学校では前世の記憶と何より精神年齢の高さ──学習に対して取り組む姿勢──もあって優秀な成績で修めているエルシャンだったが、日本の高校レベルの授業が文系理系を問わずに満遍なく、しかも短期間でどんどんと進んでいく授業のペースには前世のアドバンテージなしの自分では、優等生どころか授業についていけなかったのではという不安を覚える。
そのため彼は、去年度から高等教育過程の授業内容を調べて予習しているのだが、理系文系問わずに広い分野にわたり単位を取得するかのような授業内容に心が折れそうになった。
「なあエルシャン」
休み時間に次の授業の準備をしていたエルシャンの元へクラスメイトの1人がやってきた。
4年生にもなるとクラスメイト達も以前ほど子供子供はしておらず、むしろ田沢真治として小学校4年生をやっていた頃の自分よりも大人びているようにエルシャンには感じた。
その原因の一つが、地球人との種族的な差異であり、フルント人の性的熟成が地球人類と比べると早い年齢から始まるためで、そろそろクラスメイト達は色気づいてきていた。
そんな事もあり、またエルシャン自身の慣れもあってかクラスメイトとの距離は次第に近づいていた。まだ友達と言える仲になれた相手は居ないが……
「何だジヴァ?」
クラスの中でも小柄な少年──ちなみにこの学校の生徒は全てシルバ族。これは純血主義のフルント星において、思春期において異なる種族との接触は可能な限り避けるという風習のためだった。シルバ族は6大種族の中でももっとも小柄な種族であり成人男子でも平均身長が170cm台半ば、成人女子は160cm程度。一方で6大種族の中でも一番体格の大きいアルキタ族は成人男子が190cm台前半、成人女子は170cm台半ばと、かなりの体格差があった──が困ったような表情を浮かべている様子に、何か相談事があるのだろうと察しがついた。
以前のクラスでは敬して遠ざけると言う雰囲気だったが、4学年に上がってからはむしろ頼りにされる様になってきていた。
「あ、あの、ちょっと放課後時間があるかな?」
顔を赤らめ照れながら言い辛そうに話す彼の様子を見て、同性愛に目覚めたクラスメイトが自分の貞操を狙っていると言う訳ではなく、例の相談事だとすぐに分かった。
「いや。全く無い」
内心の『お前もかっ色づきやがって、このエロ餓鬼が!』という心の叫びを表に出さず、極めて冷淡にそう応えた。
先程述べたようにフルント人の性的熟成は早い。昔は10歳やそこら、今のエルシャンたちの年頃の夫婦など珍しくなく、子供が居たとしてもおか
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