暁 〜小説投稿サイト〜
MSV-蒼空の英霊-
防空!フォークランド
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 南大西洋のフォークランド近海の海底に1隻のユーコンが骨を休めていた。その艦内ではさらに1機のアッグが出撃の時を待っていた。

「隊長はああ言っていたけどできるかな、ボクに。」

 彼の任務は隊長の作戦開始の合図とともに浮上したユーコンから飛び出し、搭載するミサイルで敵を攪乱(かくらん)・撃破することである。
 元々が特殊任務用のアッグに無茶な改造を施し、支援機として本作戦に参加する彼の乗機は様々な問題を抱えていた。
 しかし彼が心配するのはそこではない。自分が確実に任務をこなせるかである。
 不安に駆られる中、隊長機からブリーフィングの確認の通信が入る。

『―以上だ。』
『面白くないわね。あたしたちだけで制圧しましょうよ。』
「ですね。」

 不安な彼は適当に相槌を打つ。

『よーし時間だ。作戦開始!』

 合図とともにユーコンの巨体が浮上し始め艦内が慌ただしくなる。いよいよ始まる。

「ハッチ開放、進路クリアー、発進用意よし。」
「了解、発進します。」

 カタパルトを自前のホバーで走り出し、作戦区域に出る。遠くには上陸したゾゴックとアッグガイが見える。それと戦闘ヘリが少し。

「目標を確認。撃破します。」

 ヘリを射程に収め頭部に搭載されているミサイルポッドのカバーが開く。

「ロックオン。ミサイル発射。」

 ポッドが火を噴き、対空ミサイルがヘリめがけて一直線に飛ぶ。無論ミノフスキー粒子が散布されているので誘導性はほとんどない。しかしほとんどないだけで少しだけある
 目標のヘリも運動性がそれほど高くない輸送機上がりの戦闘ヘリだ。連邦側の戦力はそれだけで護衛艦の一隻もない。
 瞬く間に空からヘリが消えた。

「目標の消滅を確認。援護に移ります。」

 とはいっても彼のチームのメンバーに援護を必要としている者はいない。
 仕方なく彼らの手の付けていないトーチカに目を向ける。
 そのトーチカ共は基地内で暴れている同僚にくぎ付けでアッグに構っていられないといった感じがするが、彼にそんな気持ちが伝わるわけがなく、無情にもミサイルの洗礼を受けることになる。

「姐さんの言うとおりだったな。面白くない。と、ミサイルがもうないな。隊長、ヘリはすべて落としました。もうミサイルがないので帰投します。」
『おう。』

 隊長は一言だけ言ってさらに奥に進撃していく。

「あぁ、ボクもジュアッグに乗りたいなぁ。っと早く戻らないと」

 元来た海をひた走り口をあけたユーコンに滑り込む。

「おかえり、水飲むか?」
「ありがとう。ミサイルの交換お願いします。」
「おうよ。ちゃっちゃとするから休む暇ねーぞ?」
「はいはい。」

 他愛のない会話をしている間にも戦争は進む。
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