第45話 黒き仮面
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忘れてた…」
その場でガクリと膝をついて項垂れるなのは。だが、何時までもこうしている訳にはいかない。
何事もポジティブシンキングである。と、自分に言い聞かせながら、なのはは寝泊りできる場所を探す事にした。
「ん〜っ、こうなったらアリサちゃんかすずかちゃんに事情を話して泊めて貰うしかないねぇ」
等と言いながらなのはがバニングス家に最初に向った。
だが、バニングス家の屋敷の門の前には大きく張り紙が張られていた。
【家族で旅行に行ってきますので居ません。○○日〜○○日まで】
丁度自分が居る日はその半ばであった。
「りょ、旅行……」
こんな時に、であった。仕方なく今度は月村家に向ってみる。しかし、其処もまた同じであった。
だが、恐らく旅行と言うのは建前であり、きっと半年前の戦闘から逃れる為に一時避難をしたのだろう。
だが、だとしても今のなのはには非常に間が悪い結果となってしまった。
一瞬にしてなのはの中の希望が粉々に打ち砕かれた。
そんな思いがなのはの中にあった。
「ど、どうしよう…」
寝泊り出来る場所がない。しかも、自分は入院中だった為鍵も持ってない。その為家に入れない。
そして、友達の家も旅行中の為留守。このままだとその辺で野宿する羽目になる。
そんな悲しいのは嫌であった。と、その時だった。
「あ、そう言えば…」
なのははふと、思い出したかの様にポケットの中に手を入れる。中から取り出したのは住所の書かれたメモの切れ端であった。
そして、再び思い出す。
それは、一足先に病院を出る事になった八神はやてから貰ったものだ。
「もし何か困った事とかあったら家に来てな。私大概家に居るし」
「有難うはやてちゃん。でも、良いの?」
「ええのええの。なのはちゃんとはこうして知り合えた仲やし、困った時はお互い様って言うやん。それに、何時かのお礼もしたいしな」
笑いながらはやてがそう言っていた。
そして再び現在に戻る。
「はやてちゃん…居るかなぁ?」
また二人の様に居なかったらどうしよう。そんな不安があった。
だが、今更そんな事言ってられない。藁にも縋る思いでなのははメモ書きの通りの住所の場所へと向った。
其処に見えたのはそれなりに大きな二階建ての家であった。結構な稼ぎが無ければ住めそうにない。そんな感じの建物であった。
こんな所に住んでると言う事は、即ち八神はやては相等な上流階級なのだろう。
何だか自分の回りは上流階級が多い気がする。そんな事を考えながらなのははインターホンを押す。
「はぁい、今出ます」
声が返って来た。願ってた声であった。
やがて、扉を開いて車椅子に座ったはやてが現れた。
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