第45話 黒き仮面
[1/7]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
時が経つのは早い物であり…
「高町なのはさん、退院おめでとうございます」
「有難う御座います」
此処海鳴病院の入り口前で担当していた看護婦が名残惜しそうになのはの手を握って言っていた。
今日はなのはの退院日である。重症を負い、此処に運び込まれてから丁度半年。長いようで短かったが。辛いリハビリもあった。しかしそのお陰もあってかなのはは一人で歩ける位にまで回復した。
それでもまだ多少激しい運動は避けるように言われており、普段の生活も多少はこなせる位ではある。
「退院したからって無理はしちゃ駄目ですよ。また傷口が開いちゃうかも知れないから」
「分かりました」
「それから、一人で家に帰れる? 何なら送っていくけど…」
「いえ、大丈夫です」
流石に其処までお世話になるのは少しあれなのでなのはは断り、病院を後にした。
半年振りの我が家だ。きっと家族も皆待ちわびてるだろう。
かく言うなのはも自宅に帰るのを心待ちにしていた。やはり自分の家に帰るのは良い物である。
等と思いつつなのはは自宅の玄関前に立ちインターホンを鳴らす。
【・・・・・・】
反応がない。
「……あれ?」
首を傾げつつ再びインターホンを鳴らす。
【・・・・・・】
やっぱり反応がない。
(あれ? 留守! 何で……)
なのはは必死に考えた。普通家族全員が家を放って置いて出かけることは滅多にない。だとすれば一体何故。
「あぁ!」
ふと、なのはは思い出した。それはつい1ヶ月前の事であった。
母桃子と父士郎の二人が見舞いに来たのだ。二人共元気になったなのはを見てとても嬉しそうだった。
そんな時、父士郎がなのはに言って来たのだ。
「なのは、実はなぁ。来月から皆ちょっと出かけないといけないんだ」
「何かあったの?」
「被災地の支援に行くことになったんだ。前のえぇっと……三毛猫の被害にあった国のね…」
父士郎よ、三毛猫ではなくミケーネである。そんな可愛い侵略者なら猫好きはどんとこいなのだが。
「それで、暫くなのは一人になっちゃうんだけど、何処か泊まれる宛てとかあるかい?」
心配そうに士郎が見る。本当ならなのはも連れて行きたいのだが生憎なのははこの状態だ。下手に連れて行けば返って傷に障る。多少心配だが置いていくしかない。
「大丈夫だよ。いざとなったら友達のアリサちゃんやすずかちゃんにお願いするし」
「そうか、なら安心だ。暫く一人になっちゃうけど、良い子にしてるんだよ」
「うん!」
なのはは元気良く頷いた。
それから時間は戻り現在に至る。それを思い出した時、なのはは激しく項垂れた。
「そうだった…あの時私あんな事言ったんだっけ…すっかり
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ