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木の葉芽吹きて大樹為す
双葉時代・発足編<前編>
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まー、そのお蔭で同盟もトントン拍子に進むんだけどね。
 因みに私が他の一族と交わしている同盟は、同盟を結んだ一族はお互いに戦場で刃を交わさないと言う、ある種の不戦条約を基本にしている。

 この間連合に参加した奈良の一族を含め、千手の連合相手には猿飛一族や秋道の一族、油女や山中と言った希少な忍術を扱う一族が多い。

「だけどなぁ……。そうだ! ミト、思いついたんだが」
「なんですか?」

 千手に齎される膨大な量の依頼。
 幾ら千手の一族と言えど、人数には制限がある。依頼の内容によりけりだが、どうしても捌けない依頼も数多く存在するのが現状だ。

「今までは一族の中だけで分けていた依頼だが……、同盟を組んだ他の一族にも分けられないのかな?」
「それは……。随分と斬新な発想ですね」

 顎に手を当てたミトが考え込む仕草を取る。
 ややあって、ミトは慎重に口を開いた。

「出来なくはないと思います。……ですけど、そうしたら他の一族の者達が不満を述べる可能性がありませんか? 彼らはあくまで対等な立場で同盟を結んだのであって、千手の配下に入った訳ではないと言い出しそうですし」
「分かってる。そこんとこはそれぞれの一族と話し合って決めるしか無いが……」

 忍びの一族は総じて一族に代々伝わる忍術や己の技術に誇りを持っている。
 言い換えれば、気位が高いのだ。

「でもまぁ。一つの部署が依頼を受けて、複数の一族に分配すると言うのは良い考えですわね。全ての依頼を千手が受けるのも限界はありますし。どうしても、得手不得手は発生しますもの」
「だよね! 思いついたがなんとやらだ、早速相談してみよう!」
「ああ、柱間様!!」

 いい加減、書類仕事には飽きてきたし、ここらで休憩しようっと!



「――……それでオレのところに来た訳か」
「うん! 何たって一番最初の同盟相手だし、猿飛殿が頷いてくれたら他の人達も納得してくれないかな、っていう願望もある」

 疲れた様に額に手を当てている猿飛殿の周囲に哀愁が漂っている。
 なんか前世の記憶に残っている、上司に無理難題を言い渡されたサラリーマンみたいだ。

「おや、柱間様じゃないか! うちの亭主にご用かい?」
「そうそう。ちょっと相談に来たんだ。こんにちは、奥方殿。今日もお綺麗ですね」

 部屋の奥から顔を覗かせてくれた奥方に、にっこり笑ってそう告げれば彼女は豪快に笑った。
 結婚前も結婚後も凄腕のくのいちとして名を馳せている彼女は、猿飛殿と結婚する前からの私の知り合いでもある。

「相変わらず口が上手だね、千手の大将は。そう言う事はあたしみたいなおばさんじゃなくて、若い子達に言ってやんなよ」
「えー? 奥方殿は今も昔も魅力的な女性ですよー」


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