暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第2章 真の貴族
第21話 ヴァルプルギスの夜
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
り裂く事も可能と言う事ですか。

 成るほど。これは固定化と言う魔法は、かなり使用範囲の広い魔法と言う事に成りますね。
 但し、その魔法に相当する仙術が思い浮かばない以上、俺に再現は出来ないのですが。
 それに、相手にも固定化が掛けられた防具の場合は、矢張り、剣を扱う者の力と技量。それに、その固定化を掛けた魔法使いの技量に因って結果が変わって来ると言う事でも有るのでしょう。

 つまり、矛盾と言う言葉が生まれづらい世界だと言う事はよく判りました。今のタバサとのやり取りでね。

「あれ、タケガミさん。貴方は、確かルイズさんとダンスを踊って居ませんでしたか?」

 そんな、妙に教訓的な事を考えていた俺に対して、突然、後方、つまりダンス・ホールの中心部から聞き覚えのある女声(コエ)が掛けられた。
 ……って言うか、俺の事を名字で呼ぶ女の子は、今のトコロ一人しかいないか。

「あぁ、モンモランシ嬢ですか。貴女に作って頂いた香水は良い香りですね。
 さっそく、我が主人も使わせて貰って居ります」

 一応、タバサがこんな事を言うとは思えないので、俺の方から言って置きますか。それに、これは、まぁ、軽い社交辞令と言うヤツです。
 そもそも、俺に香水の良し悪しなど判る訳はないですから。薔薇の香りと判っただけでも誉めて欲しいぐらいですよ、実際の話。

 振り返った俺の視線の先には、金髪縦ロールの少女。モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシが少し不思議そうな表情で俺を見つめたまま立っていた。
 見た目は一昔前の少女漫画のライバル役。しかし、性格的にはどうも違うような雰囲気を持った少女、モンモランシー。

 ……って言うか、長い名前ですね。ミドル・ネームは洗礼名か何かなのでしょうか。
 それに、地球世界のモンモランシー家と言うと、確かフランス貴族ですし、その領地もフランス領で有って、ベルギーの辺りの地名では無かったような記憶が有るのですが。

 確か、あの超有名な御方が同じ名字だったと記憶しているのですが。

 もっとも、モンモランシ家とモンモランシー家では、大分違いますか。それに、今はそんな事よりも、彼女が言った妙な台詞の方が重要ですしね。

「それで、私が、ルイズと一緒に踊っていたとおっしゃられるのですか、モンモランシ嬢」

 おそらくは、モンモランシーの見間違いだとは思いながらも、そう問い返す俺。

 しかし、この部屋に入った時にざっと見回した限りでは、このダンスホールと化したアルヴィーズの食堂の上の階にある大きな部屋に、俺と同じ黒いタキシードなどを着込んだ人間はいなかったはずなのですが。

「はい。黒い髪の毛に、黒い上着を着た男性はタケガミさん御一人です。見間違いようは有りません」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ