第2章 真の貴族
第21話 ヴァルプルギスの夜
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言うか、瞳の中心には間違いなく彼女を映していたのですが、心は別の世界で遊ばしていた俺を、何時の間にかタバサが見上げるように、じっと見つめていた。
彼女の視線と、見るとは無しに彼女を見つめていた視線が交わる。
その行為に少し慌てる俺。これは、俺が彼女をじっと見つめていた事によって、俺に何か用が有ると思われたのでしょうか。
確かに、俺の方から彼女の顔を凝視する時は、大抵が彼女に対して問い掛けを行う時なのです。しかし、今回に関しては、彼女の方を見つめながら、少し考え事をしていただけなのですが……。
「えっとな。タバサ、ひとつ聞きたいんやけど……」
まぁ、良いか。それならば、ついでにひとつ疑問について聞いて見るだけですから。
かなりの部分で照れ隠しだったのは事実なのですが、それでも少し……いやかなり興味が有った事なのも事実ですから。
「この才人にやった日本刀は固定化と言う魔法が掛けられたらしいんやけど、その固定化と言うのは、どの程度の強化が図られたと言う事なんや?」
表面上は平静そのもの。しかし、霊道で繋がっているタバサに取っては、俺の挙動不審ぶりは簡単に伝わっているのではないか、と言う気を発しながら、俺はタバサに対してそう問い掛けた。
それに、日本刀と言うのは横からの衝撃にはそう強い物ではないし、刃で相手の攻撃を受けていたら、直ぐに刃こぼれを起こして仕舞う代物でも有るのは事実。
ですから、俺は刀で攻撃を受けるよりも、相手の攻撃を見切る技を習得して行った訳ですからね。
少し俺の質問に考える仕草のタバサ。この微妙な間は、もしかすると、俺が照れ隠しに適当な事を聞いた事に気付かれた可能性は否定出来ませんが……。
う〜む。これは、矢張り少し唐突過ぎる質問でしたか。
「普通に武器として使用する分には、折れる事は無い」
しかし、タバサは普段通りの、やや抑揚に欠けた、彼女独特の話し方でそう答えてくれる。
俺が、心ここに在らず、の状態で彼女を見つめていた事に関してはスルーしてくれる心算らしいです。これは、多分、良かったと言う事なのでしょうね。
それで、固定化の魔法についての彼女の答えは、大体予想通りと言う感じですか。
それならば……。
「例えば、相手に固定化が掛かっていない鉄などを斬り裂いたり、貫いたりする事も可能と言う事に成るのか?」
原理的に言うならば、これは正しい推測だと思いますね。もっとも、そんな力を加える事が、俺には不可能だとは思わないけど、かなり難しいのは事実。
当然、その鉄の厚さにも因りますが……。
俺の質問に、ひとつ首肯く事によって答えてくれるタバサ。
これは肯定。つまり、固定化が掛かっていない防具相手なら、力と技量さえあれば斬
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