第2章 真の貴族
第21話 ヴァルプルギスの夜
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今の彼女の雰囲気はね。
俺に対して、少し笑って見せるルイズ。そう言う表情を見せると、普段の彼女の発して居る少しキツイ印象がかなり和らぐ。
普段の彼女は、自らへの自信の無さや自らの家柄に対するプレッシャーから、少しキツイ表情をしている事の方が多く、公爵家の姫君で有る事や、くっきりとした上品な目鼻立ち。そして、何よりその瞳の色合いから、気の強そうな、……ぶっちゃけ、少々わがままな性格が透けて見えるのですが、先ほどのように笑って魅せてくれた時には、よく整った顔立ちに、何処か童女のような無垢な雰囲気が漂って来る。
普段からそう言う態度や雰囲気で居てくれたのなら、クラス内で孤立するような事はない、と思うのですけどね。
俺が、軽く右手を上げて挨拶を送ったのを確認してから、まるで、優雅なターンをするかのような自然な姿で踵を返し、ホールの中央。この舞踏会の主役が納まるべき場所へと歩を進めて行くルイズ。
その瞬間、多くのペアが優雅に舞うこのホールに、何故か、その彼女の行く先には、一筋の道が出来上がっていた。
その一筋の花道を、遅れて来た主役が自らの舞台に立つ為に、ゆっくりと。上品な雰囲気を纏い進み行く、仄かに花の香りを漂わせる桜色の少女。
やれやれ、ここから先は、俺の関わる話では有りませんか。
さてと。才人とキュルケが去って、次にルイズは去って行き、後に残されたのは俺一人。何か妙に寂しいような気がするのですが。
そうしたら、タバサの傍に行くとしましょうか。
そう思いながら、振り返って視界に蒼い少女の姿を瞳に収める俺。当然、何事もない事は判っているのですが、それでも自分の目で確認するのと、気配だけで察するのとでは、気分的にも大分違って来ますから。
そして、自らの主人を目視で確認した後、左手に才人から預かった蜘蛛切りを持ち、タバサの方に歩み寄る俺。
尚、流石の俺の御主人様も、既に御食事の時間を終えられ、御持参していらっしゃった本を片手に読書タイムに入られて居りました。
まぁ、この少女は、何処ででも本が読める御方ですから、これで普通の対応なのですが。
ほんの少しの明度を上げる為に、サラマンダーに因り熱を発生させない光をタバサの周囲にだけ灯す。ここは、少し本を読むには明かりが足りない空間ですからね。
もっとも、彼女のメガネは、どうやら伊達メガネらしいのですが。
俺が傍らに立ったのは気付いているけど、こちらに顔を向ける事なく俺には理解不能な文字列を、その蒼い瞳のみで追っているタバサ。
尚、この世界では活版印刷自体は発明されているのですが、流石に本自体がかなり高価な物で、タバサの部屋に有る冊数の本は、実はかなりの財産となる物らしいです。
確かにそう言う時代が
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