第三十話 仕組まれた引き金
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やも知れぬ」
「この地上の世界を手に入れる為に」
「そうだ。だが」
ここでドレイクの目が光った。
「それはあの二人には悟らせるな。あの二人だけではないがな」
「はい」
「ビショットにもショットにもだ」
「無論です。ビショット殿もショット殿も今回は後方に退いておられますな」
「いつものことだ」
ドレイクはそれに対してやや忌まわしげに吐き捨てた。
「小賢しい真似を。漁夫の利を得ることしか考えておらぬは」
「ですがそれも想定のうちでは」
「否定はせぬ」
ドレイクはそれも認めた。
「こちらも利用させてもらう。最後に立っているのは私なのは既に決まっていることだからな」
「殿が」
「そうだ。だがな」
ドレイクの顔が歪んだ。
「果たしてあの二人だけなのか」
「といいますと」
「リムルの動きを見よ」
ロンド=ベルにおり敵味方に分かれている娘について言及した。
「リムル様ですか」
家臣達も彼女のことは知っていた。抵抗はあったがあえて述べた。
「そうだ。何故ゲア=ガリングを執拗に狙う」
「それは」
それが彼女の特徴であった。ゲア=ガリングが戦場に出たならばまずそこに向かおうとする。その際強い怒りと憎しみのオーラを放っているのだ。
「ビショットとは確かに婿の話があるが」
それは既に反故になっているにも等しい話であった。
「あの娘はあそこまでビショットに対して感情を持ってはいない筈だな」
「ええ」
「では何故だ。何故ああまであの艦を狙うのだ。あれはどういうことだ」
「それは」
それは誰にもわからなかった。家臣達は皆首を傾げてしまった。
「あの裏切り者達が何か吹き込んだとは思えぬ」
ショウだけではない。ショットやガラリアについても述べていた。
「あの者達はそうしたことはせぬからな」
「はい。では何故でしょうか」
「今はわからぬな。だが」
ドレイクの目に暗い光が宿った。
「必ず何かある。その時は動かねばならぬな」
「はっ」
彼等も戦場を離れた。こうしてティターンズとドレイク軍はサンクトペテルブルグからバルト海へと次々と逃れていった。凍てついた氷の海であった。
「逃げるか」
「どうしますか?」
シナプスに対してバニングが尋ねた。
「追いますか、それとも」
「うむ」
シナプスはそれを受けて考え込んだ。
「追ってもいいがな。だが一つ気懸りなことがある」
「あれですか」
「そうだ。そろそろ出て来る頃だな」
「ですね。出るとするなら」
バニングはニュータイプではない。だが歴戦の勘が彼に何かを教えていた。
「そろそろですね」
「ああ。葛城三佐」
シナプスはここでミサトに話を振ってきた。
「はい」
「そちらのレーダーに反応ははないか」
「ちょっと待って
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