第三十話 仕組まれた引き金
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「ドレイク殿」
ドレルはティターンズを代表してドレイクのウィル=ウィプスのモニターに姿を現わした。
「これから北欧に向かいたいのですが。宜しいですか」
「北欧ですか」
「はい」
ドレルはそれに頷いた。
「まずはそこで勢力を回復させるべきだと思うのですが。如何でしょうか」
「ふむ」
ドレイクはそれを聞いて考えるふりをした。あくまでふりである。そしてドレルに対して問うた。
「ドレル殿」
「はい」
「それはジャミトフ閣下の御考えですかな」
「閣下の」
「若しくはバスク大佐の。どうなのでしょうか」
「それは」
ドレルは躊躇したが答えることにした。
「私の考えです。この部隊を預かる指揮官としての判断です」
「では御二人の御考えではないのですな」
「はい」
「成程」
ドレイクはそれを聞いてまた考えるふりをした。
「卿の御考えですか、つまりは」
「それが何か」
それを聞いてドレルは問うた。
「不都合があるのでしょうか」
「いえ、別に」
ドレイクはそれに対しては不平を述べはしなかった。
「ただ北欧はどうかと思いましてな」
「いけませんか」
「これはあくまで私の考えですが」
ドレイクはここでは考えていた。考えながら述べた。
「北欧よりいい場所があるのではないですかな」
「といいますと」
「西欧等はどうでしょうか。北欧に比べれば勢力を回復させ易いと思いますが」
「言われてみれば」
北欧は人口が少ない。だが西欧はそれに比べて遥かに人口が多い。しかもジャミトフの出身地であるゼダンもある。ここではティターンズの人気は高いのである。
「悪くはないですね」
「では決まりですな。西欧へ向かいましょう。そこで勢力を回復させるとしましょう」
「わかりました。それではそれで」
「はい」
ドレルはモニターから姿を消した。それを見送りドレイクは不敵に笑っていた。
「これでよし」
「殿」
ここで家臣の一人がドレイクに話し掛けてきた。
「どうした」
「何故あの若者に西欧を勧められたのですか」
「さっき申したであろう」
ドレイクは不敵に笑いながらそう言葉を返した。
「勢力を回復させる為だ」
「いえ」
だが家臣はそれで全てだとは思わなかった。さらに問うた。
「それだけではないと思いますが」
「ふふふ」
ドレイクはまた不敵に笑った。
「どうやらわかっているようだな」
「ハッ」
「ここはティターンズに対して恩を売るべき時だ」
「はい」
「ジャミトフ=ハイマン、バスク=オム、いずれも野心に満ちた男だな」
「どうやらそのようで」
彼等の野心は既にドレイクも見抜いていた。これは同類だからであろうか。
「その野心をくすぐらせてもらおう。そうすれば今後何かと面白くなる
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