第三十話 仕組まれた引き金
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からない。常にそれに備えている」
「だからね。体調管理もしっかりしていないと駄目なの」
「成程」
「生の魚を食べる時も気をつけている。虫がいては大変だからな」
「・・・・・・ドモンさんだったら虫まで消化しちゃいそう」
「それ禁句だぞ、バーニィ」
それでも二人もヒソヒソと話をしている。
「まあ鰻なら蒲焼にしてもいいと思うよ。あたしも一度食べてみたいし」
「蒲焼か」
コウがそれを聞いて目を輝かせた。
「いいよな、あのタレが。やっぱり鰻は蒲焼だよ」
「俺はひつまぶしの方がいいな」
ナオトが突っ込みを入れる。
「肝の吸い物も忘れるなよ」
アキラも。彼等もどうやら鰻が好きなようである。ナミダも何だか嬉しそうであった。
「だがそれはサンクトペテルブルグの戦いが終わってからだ」
ここでバニングが皆を引き締めにかかった。
「それはわかっているな」
「はい」
皆それに応えた。
「わかっているならいい。ではそろそろ戦いだ。配置についておけ、いいな」
「わかりました」
こうして彼等は控え室に入った。入る時にタケルに対してミカが声をかけてきた。
「タケル」
「どうしたんだい?」
「お兄さんのことだけれど」
「兄さんの」
それを聞いたタケルの顔が曇った。ミカはそれを見て言った。
「あ、嫌ならいいのよ。けれど」
「ミカの言いたいことはわかってるよ」
彼はそう言葉を返して笑った。
「兄さんは生きている、それでいいさ」
「いいの?」
「今はね。けれど絶対に救い出す、絶対にね」
「お兄さんだから?」
「そうだな」
タケルはそれを認めた。
「それはある」
「やっぱり」
「兄さんはやっと巡り合えた俺の肉親なんだ。何としても助け出したい」
「助け出してどうするの?」
「そこまではわからない」
そう答えるしかなかった。
「だが兄さんを助け出したい。それじゃあ駄目なのか」
「いえ」
ミカはそれを否定しなかった。
「それでいいと思うわ。けれどね、タケル」
「何だい」
「無理はしないでね、いいわね」
「わかってる」
タケルはそう頷いた。
「だけど無理はしなければならない時は」
「私達がいるわ。安心して」
「有り難う」
タケルはにこりと笑った。そして戦場に向かった。
ロンド=ベルは戦場に布陣した。そこには既にティターンズとドレイク軍もいた。サンクトペテルブルグの入口であった。
「ロマノフ王朝の帝都か」
「ああ」
ピートの言葉にライが頷いた。
「そしてソ連の時には国父の街だった。ロシアの歴史において最も重要な都市の一つだ」
この都市はロシアきっての名君とされるピョートル一世の作り上げた都市である。当時欧州きっての軍事国家であったスウェーデンとの戦いにおいて勝
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