第三十話 仕組まれた引き金
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対して慌てて声をかける。
「三人いないとマジンガーチームじゃないですから。そんなこと言っていじめないで下さいよ」
「おいおい甲児君、俺はいじめはしないぞ」
「そうですかあ!?俺はそうは思えませんけれど」
「ははは」
三人の和気藹々とした話が聞こえる中サンクトペテルブルグでの戦いは終わった。そしてロンド=ベルはティターンズとドレイク軍をミスマル司令率いる連邦軍正規軍に任せローマに向かうのであった。古の都であるローマが彼等を待っていた。
「帝」
鉄甲龍の基地の奥深くでルラーンが幽羅帝に対し畏まって言葉を送っていた。
「どうした」
「我等の目的のことですが」
「それがどうかしたのか」
帝はそれを聞いてあらためてルラーンを見た。優しい目であった。
「我等の目的は世界を滅ぼすことでしたな」
「今更何を言う」
帝はそれを聞いて右の目を微かに疑問で曇らせた。
「ゼーレが人類補完計画に失敗した場合我等が動く計画であった」
「はい」
「補完に失敗した人類を浄化する為に。それを忘れたわけではあるまい」
「無論です」
ルラーンはそれ自体は認めた。
「ですが」
「ですが・・・・・・何だ?」
「それは御本心ですか?」
「何を言いたい」
幽羅帝には彼の言葉の意味がわからなかった。
「それは帝の御意志なのでしょうか。私はそれを御聞きしたいのですが」
「無礼な」
彼女はそれを聞いてその幼さの残る目をキッとさせた。
「私が嘘を言うとでもいうのか」
「いえ」
「ならばわかろう。私は世界を破壊する為に存在している」
「はい」
「そしてその為なら如何なことでもしよう。例え我が身が滅びようともな」
「御身が」
「そうだ。それはそなたが最もよくわかっている筈だが」
「如何にも」
それも認めた。だがそれでも言った。
「それが本当の帝の御意志ならよいのですが」
「まだ言うのか」
「いえ」
ルラーンはここで話を止めることにした。
「これ以上は。それでは私はこれで」
「うむ。ゆっくりと休むがよい」
「はっ」
ルラーンはいたわりの言葉を受けてその場を退いた。後には帝だけが残った。
「おかしなことを言う」
彼女はルラーンがどうしてあのようなことを言ったのか理解できなかった。
「私が世界の、人類の破壊を望んでいないとでもいうのか?馬鹿な」
それを肯定しようとした。だが何故かそれを肯定しきれなかった。それが何故か彼女自身にもわからなかった。
「どういうことなの?」
その時彼女は一人の少女に戻っていた。
「私はこの世界も人類も滅ぼすつもりなのに。それを私は本当は望んでいないというの」
だがそれはわからなかった。彼女自身には。だが一人だけそれを理解している者がいた。彼女のよく知る者である
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