第二十九話 二つの顔を持つ男
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そうだ。俺を憎くて仕方がない男だ」
その黒い目が禍々しく光った。
「俺を殺そうと考えている。今もその憎しみを感じる」
「そしてゼオライマーでその男を倒すのか」
「言うまでもないことだな。その時に御前は見る」
「何をだ」
「人形が俺の手に戻る瞬間をだ。その時を楽しみにしていろ」
「何をするつもりなのかは知らないが」
「楽しみにしておけ。では行こう」
そう言って前に出た。そして部屋を出る。
「鬱陶しい蚊を退治しにな。所詮は奴等は蚊だ」
マサキは部屋を後にした。そこには沖だけが残っていた。
「私は恐ろしい男を殺したのかもしれないな」
一言そう呟いた。だが時間は戻りはしない。彼もまたその中にいるのである。それは逃れられぬことであった。
その頃美久は一人駐車場にいた。ラストガーディアンの地下駐車場である。そこには車は一台もなくただ暗闇が広がっているだけであった。美久はその暗闇の中に一人立っていた。そして泣いていた。
「酷いわ、マサト君」
彼女は先程のマサキの言葉に傷ついていたのだ。彼女もその心は一人の少女なのである。
「何で。何でいきなり」
涙がとどめもなく流れていた。さめざめと泣いていた。
「人形だなんて。私達はパートナーじゃなかったの」
少なくともマサトはそう思っているだろう。だがマサキは違う。彼女はそれに気付いてはいないのである。
そのまま泣き続けていた。そうして最後まで泣き心を静めようとする。だがそれは適わなかった。
「きゃっ」
後ろから漆黒の服の女達が近付いてきた。そして彼女を後ろから取り押さえた。そして彼女を何処かへと運び去った。こうして美久は姿を消したのであった。
それとほぼ同じ時間にマサキはゼオライマーで出撃していた。彼は一人でも余裕の態度であった。
「フン、八卦共が」
彼は敵を嘲笑していた。
「懲りもせずに」
そして何処かへと去って行った。日本を離れ西へと消え去っていった。
ロンド=ベルはオデッサでの戦いの後北へ向けて進んでいた。敗走するティターンズとドレイク軍を追撃しているのであった。
「敵は今何処にいる」
カワッセはグランガランの艦橋で周りの者にそう問うた。
「レーダーに反応はないか」
「はっ」
それに対し部下の一人が応えた。
「今のところはありません」
「そうか」
「ですが油断は禁物です」
だが後ろに控えるシーラがここでこう言った。
「シーラ様」
「強いオーラを感じます。気をつけて下さい」
「オーラをか」
「はい」
艦橋にいたマサキ達にそう答える。
「月が来ています」
「月!?」
「そして天が。月は非常に強い憎しみをその心に抱いているようです」
「憎しみをか」
「まるでバーンね」
「あの兄ちゃんもしつこいよね
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