暁 〜小説投稿サイト〜
スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇
第二十九話 二つの顔を持つ男
[19/19]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
いた。祗鎗である。
「見事な最後だったそうです」
「八卦衆らしいか。ならばせめてもの救いか」
「・・・・・・・・・」
 祗鎗はそれには答えなかった。俯いて沈黙していた。
「祗鎗」
 帝はここで彼の名を呼んだ。
「次はそなたに行ってもらいたい。よいか」
「喜んで」
「そしてロクフェルにも行ってもらいたいのだが」
「ロクフェルもですか」
「何か不服なことでもあるのか?」
「いえ」
 祗鎗はそれには沈黙した。
「何もありません」
「ゼオライマーの力は強大だ。二人がかりでなければ相手にならぬかも知れぬ。いや、シ=アエンとシ=タウが既に敗れているな」
「はい」
「油断はできぬ。二人で連携して相手をせよ。よいな」
「御意」
 こうして祗鎗の出撃が決まった。彼はそれを受けた後退室した。その後ろに一人の男が現われた。
「貴様か」
「うむ」
 それは塞臥であった。彼は不敵な笑みを浮かべていた。
「次の出撃が決まったそうだな」
「それが何かあるのか」
「一つ提案がるのだが」
 塞臥はここでこう言った。
「提案?」
「そうだ。俺と手を組むつもりはないか」
「一体どういうことだ」
「そのままだ。俺と手を組めばいいことがある」
「貴様の言っていることがわからぬのだが」
「とぼけられるとはな。ではあらためて言おう」
 塞臥は言葉をあらためた。そのうえでまた言った。
「俺につけ。これならわかるな」
「・・・・・・・・・」
 祗鎗は黙ってそれを聞いていた。
「帝よりいい目を見せてやるぞ。どうだ」
「塞臥」
 祗鎗は彼の名を呼んだ。
「何だ」
「貴様、まさか謀反を企んでいるのではないのか」
「謀反?」
 彼はそれを聞いてうそぶくような顔を作った。
「俺がか。どうしてそう思う」
「貴様については前から怪しいと思っていた」
「ほう」
「それならば俺はゼオライマーと木原マサキより御前を先に倒す。わかったな」
「さてな」
 彼はこれにはとぼけてきた。
「だが貴様の心はわかった。今はそれでよしとしよう」
「それでいいのか」
「貴様についてはな。ではな」
「・・・・・・・・・」
 祗鎗を尻目に彼は姿を消した。その口の端に邪な笑みを浮かべたまま。
 彼等もまたそれぞれの思惑があった。それが複雑に混ざり合ったまま戦場に向かう。戦いは一つの色で染められているものではなかった。


第二十九話   完


                                     2005・6・28



[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ