第二十九話 二つの顔を持つ男
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久はそのまま宙に浮かんだ。そして何処かへ姿を消してしまった。
「消えた。まさか・・・・・・」
彼は美久が何故姿を消したのかわかった。そして遠くを見据えた。
「木原マサキ、また動くか。何処までも恐ろしい男だ」
彼の声にも顔にも憎悪はなかった。だがそこには怯えの色があった。己より力が上の者に対する怯えであった。
「ククククク」
マサキは葎を前に笑っていた。
「もうすぐ貴様も死ぬ。覚悟はいいか」
「ほざけ!」
葎はその言葉を聞いて激昂した。
「貴様を倒すことこそが俺の唯一の望み。それを適えるまでは!」
「死なぬとでもいうのか」
「そうだ。見ろ!」
彼はここで雲の中に衛星を放った。小さな衛星であった。
その衛星から雷が落ちる。そしてそれが葎のローズセラヴィーを直撃した。
「チャージ!」
「ほう、エネルギーを充填したか」
「そうだ」
彼は答えた。
「貴様を完全に倒す為に。行くぞ」
「来い。だがその前に余興を見せてやる」
「余興!?」
「そう、これだ」
ゼオライマーの前に一人の少女が浮かび上がった。美久であった。
「その娘は」
「これこそがゼオライマーなのだ」
マサキは葎に対してそう言った。
「ゼオライマー!?」
「何を言っているんだ!?」
コウがそれを聞いて眉を顰めさせた。
「あの娘がゼオライマーだなんて。おかしくなったのか!?」
「おいコウ、それはないだろ」
キースがそれに突っ込みを入れた。
「何かの隠語じゃないのか」
「いえ、どうやら違うわ」
だがここでニナが二人に対してそう言った。
「多分ゼオライマーの秘密はあの娘にあると見て間違いないわ」
「!?どういうことなんだ」
「どうなってるんだよ」
「見ていればわかるかもね」
だがニナは冷静なままであった。
「ここはじっくりと見せてもらうわ、ゼオライマーを」
「そうね」
リツ子もそれに頷いた。
「じたばたしてもどうにもならないのなら。見るしかないわ」
「ええ」
「そうだな」
二人に続いてコウも頷いた。
「ここは見るとするか」
「コウ、いいのかよ」
キースがそれに疑問の声を呈した。
「黙って見ていて」
「そうするしかないだろ」
コウはもう腹を括っていた。
「今は俺達にはどうしようもないんだからな」
「確かに」
クリスがそれに頷いた。
「今はどうしようもありませんね。攻撃を仕掛けるには迂闊ですし」
「ああ」
「見とくしかないか。それじゃあとりあえず距離だけは置きましょう」
「わかった。そうするか」
「はい」
コウはバーニィの言葉を取り入れて小隊を後ろに下がらせた。そしてそこで武器を構えるのであった。
美久はゼオライマーの前に浮かんだままであった。だが突如
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