第二十九話 二つの顔を持つ男
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連結システムをな」
「えっ」
それを聞いたリツ子が眉を顰めさせた。
「次元連結システムはゼオライマーの中にあるのじゃなかったの?」
「どうも違うようですね」
サコンが彼女に対してそう答えた。
「彼の話しぶりからするとそれは外にあるようです」
「外に」
「ですね。今それがわかりますよ」
「その次元連結システムとは」
「今教えてやる」
マサキはやはり邪悪な笑みを浮かべたままそう言った。
「美久」
「美久!?」
それを聞いたリツ子達の顔がまた変わった。
「来い。そしてゼオライマーに戻れ」
「まさか」
そこにいた全ての者が最早マサキから目を離すことができなくなっていた。今やマサキの一挙手一投足に全ての神経を集中させていた。そしてマサキの動きに応じて何かが動いた。
その頃鉄甲龍のキエフの基地で一人の老人がプールに浮かぶ全裸の美久を見て驚きの声をあげていた。
「まさかこの娘がな」
ルーランであった。鉄甲龍の技術者である。
「木原マサキに味な真似をする」
「味な真似か」
それを聞いた塞臥がルーランに声をかけてきた。
「それはどういうことだ」
「わかるのか」
だがルーランはそれには答えずに逆にこう問うてきた。
「お主に」
「馬鹿なことを言う」
彼はそれを聞いて薄い笑みを浮かべた。
「俺を誰だと思っているのだ。八卦衆の雷だぞ」
「それは知っている」
ルーランも負けてはいなかった。表情を変えずにそう返す。
「だがこれを見てもまだわからないようだな」
「少なくとも興味はない」
塞臥はその言葉に対してそう答えた。
「俺にはどうでもいいことだ」
「オムザックさえあればか」
「そうだな」
「あれは確かに強力だ」
それを聞いてルーランが呟く。
「だがお主はそれを使って何をするつもりなのだ」
「さてな」
塞臥はそこはとぼけた。
「何を言っているのかよくはわからないが。さて」
彼はルーランに対して背を向けた。
「オムザックをなおしてくれたことの礼は言おう。これでゼオライマーも終わりだ。いや、葎が倒すか」
「そうだな」
ルーランはそれに頷いた。
「この娘がここにいる限りはな」
「その娘に何があるかは知らないが」
塞臥は振り向かなかった。
「俺には関係のないことだ。ではな」
そして彼は姿を消した。後にはルーランとプールの中の美久だけが残った。美久は全裸であった。
彼は塞臥が去った後も暫くプールの中の美久を見ていた。そして呟いた。
「木原マサキ、恐ろしい男だ」
その顔には驚愕の色が浮かんでいた。
「まさかこの娘までとはな。そこまで考えていたか。ん!?」
そこでプールの中の美久が突如として動きはじめた。
「なっ、何が起こったのだ」
美
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