第二十九話 二つの顔を持つ男
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「あのマシンを見て下さい」
「!?」
皆それを受けてゼオライマーに目を向けた。見ればローズセラヴィーと戦いを繰り広げている。
「今のゼオライマーは私達を見ていません」
「どういうことなの!?」
「おそらくあの中にいるのは木原博士ではないのです」
「ルリちゃん」
ミサトはモニターに姿を現わしたルリを見上げた。
「それなら」
「あの中にいるのはごく普通の人と思われます。ただ」
「ただ!?」
「それでも身体は木原博士と同じものだと思われます」
「じゃあ二重人格者か何か?」
「はい」
ルリはそれに答えた。
「詳しいことまではわかりませんが」
「そういえばそうだな」
アムロがそれに頷いた。
「アムロ中佐」
「ゼオライマーの動き、あの時とはまるで違う。今のあれは素人のそれだ」
「素人」
実際にゼオライマーはローズセラヴィーに為されるがままであった。一方的に攻撃を受けていた。
「どういうことだ」
それに最も驚いていたのは他ならぬ葎であった。
「ゼオライマーの力、この程度だというのか」
「ううう・・・・・・」
マサトはゼオライマーのコクピットで呻いていた。そして葎に対して問うた。
「答えてくれ」
「!?」
「何故僕を憎むんだ?」
マサトはそう問うてきた。
「君のことは知らない筈だけれど」
「知らないのか」
「それに僕は秋津マサトだ」
「それは知っている」
葎はそれに頷いた。
「だが同時に木原マサキでもある」
「やはりな」
ロンド=ベルの面々の中で何人かがそれを聞いて表情を変えた。
「それなら」
マサトはまた問うた。
「君はどうして木原マサキを憎むんだ?彼が君に何をしたというんだ」
「俺という命を弄んだ」
「命を!?」
「そうだ。見ろ」
葎はここで仮面を取り外した。そしてそこには群青色の髪をした美男子がいた。男というよりは女に近い顔であった。実に整った顔であった。
「!!」
皆その顔を見て絶句した。
「何て綺麗な顔・・・・・・」
「それで何で嫌がるんだ。わからねえ」
「俺より少しだけ不細工なだけだってのに」
さやかと甲児、そしてボスも唖然としていた。だが葎はそんな彼等に対して言った。
「美しいか。だが美とは価値観に過ぎん」
「価値観」
「そうだ。俺にとって美とは男らしさだ」
「男らしさ」
「俺は女ではない。男だ。だからこそ」
さらに言う。
「この顔が俺の憎しみのもとなのだ」
「顔が」
「そうだ、木原マサキよ」
彼はマサトではなくマサキに対して言っていた。
「我等八卦衆は貴様により作り出された」
「クローンか何かか」
サコンはそれを聞いて呟いた。
「どちらにしろ人工的に作り出されたのだな」
「そうだ」
葎はサ
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