第二十七話 オデッサの戦い
[1/20]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二十七話 オデッサの戦い
中国、そして中央アジアでの戦いを終えロンド=ベルは遂にティターンズが占拠するオデッサに到達した。そこには既にティターンズ、そしてドレイク軍の軍勢が集結していた。
「ドレイク殿からの連絡はあったか」
スードリの艦橋でティターンズの軍服に身を包んだ口髭の男が周りの者にそう問うていた。ジャマイカン=ダニンガンという。バスク=オムの腹心の一人でありこのオデッサの責任者でもある。階級は少佐である。
「ハッ、只今連絡が入りました」
「何と仰っているか」
ジャマイカンは答えた部下に対して再度問うた。
「援護は任せておくように、とのことです。こちらにオーラバトラーをさらに送るとのことです」
「そうか、ならばいいが」
とりあえずそれを聞いて安心した。
「敵はロンド=ベルだ。油断はできぬからな」
「ハッ」
「ダブデは全機稼動しているか」
「既に。モビルスーツ部隊も展開しております」
「用意は整っているな。しかしそれだけでは駄目だ」
「といいますと」
「ヤザン大尉とジェリド中尉はどうしているか」
「既に前線におりますが」
「あの二人に厳命しておけ。ロンド=ベルを狙え、とな」
「どういう意味でしょうか」
この部下は二人のカミーユに対する執着を知らなかった。
「知らぬのならよい。伝えるだけでな」
「わかりました」
何も知らないまま頷く。そして命令通り二人にそれを伝えるのであった。ティターンズは決戦に備えていた。
それに対してドレイク軍はいささか余裕のある態度であった。彼等はティターンズの後方に位置しそこでティターンズを見守る形となっていた。
「どう見るか」
ドレイクはウィル=ウィプスの艦橋において傍らに控える家臣の一人に問うた。
「はい」
その家臣は敬礼した後で答えた。
「あのジャマイカンという男、将の器ではありませぬ。おそらくこの戦いはロンド=ベルのものでしょう」
「そうではない」
だがドレイクはその言葉に対し鷹揚に手を横に振った。
「確かにこの戦いにおいてはそうだろうがな」
「といいますと」
「私が問うているのはこれからのことだ」
「これからのこと」
「そうだ。再び地上に出たな」
「はい」
「我が野心、再び果たそうと動くべきかどうかだ」
「それにつきましては」
家臣はあらたまって答えた。
「殿の思われるままに」
「で、あるか」
ドレイクはそれを聞いてニヤリ、と笑った。
「わかった。それではそうしよう」
「はい」
「だが当面ティターンズとの同盟は続けておくぞ」
「わかりました」
「問題はあの二人だが」
ここである二人の顔が脳裏に浮かんだ。
「いずれそれも始末をつけよう。よいな」
「わかりました」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ