第一話『居場所』
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だ?」
スウェンのその問いに、ロイとネレイスは顔を見合わせて困惑した表情を見せる。
「ここはドイツにあるブレーメンの片田舎だよ」
「ドイ…ツ? そんな馬鹿な、俺は宇宙に……地球から金星の狭間を……あのモビルスーツに乗っていたはずだ……」
その時、ロイからスウェンにとって信じられない言葉が放たれる。
「宇宙? それにモビルスーツとはなんだい?」
「!?モビルスーツを知らないだと!?」
「うん、聞いたことが無いね。君は?」
「いいえ、私も聞いたこと無いわ」
二人の言葉に唖然とする。スウェンは焦りの色を見せながら
「なら、オーブは? ザフトは? コーディネイターは?」
「すまない、どれも聞いたことが無いね……」
「そんな……馬鹿な……俺は一体……」
スウェンは混乱し頭を抑える。ネレイスは心配そうに声をかける。
「大丈夫? スウェン君」
「……問題ない」
持ち前の冷静さを取り戻し、直ぐに表情を戻す。
「どうやら君は疲れているようだね、家はどこだい? 送っていくよ?」
「家など、存在しない。身内も、両親も。言うなれば天涯孤独と言った言葉が合うだろうな」
ロイとネレイスは言葉を失った。目の前に居る少年は、家族が居ないことを平然と、しかも表情一つ変えず言っている。彼は一体どんな人生を歩んできたのか、二人は想像すら出来なかった。ロイとネレイスは顔を見合わせ頷き
「スウェン、君はどこか行くあてはあるのかい?」
「ないな」
「なら、此処で暮らさない?」
「なに?」
スウェンはネレイスの顔を見る。初めて真正面から顔を見たことで、スウェンは髪の色は違えど、ネレイスは誰かに似てると気づく。
「貴方のような子を一人であても無く居させるのは、私達は耐えられないの。貴方が迷惑でなければで良いの。一緒に暮らしましょう?」
この我が子を心から心配するような優しい表情。誰に似てるかと思えば、とスウェンは気づいた。
(似ているな……母さんに)
これは自分に与えられた、新しい人生なのかもしれない。自分が犯してきたことがどれ程なのか解かっている。それでも、このような優しい人達と人生を送れるのなら……、スウェンはそう思い
「俺には行くあても、居場所も無い。俺に居場所をくれるのなら……俺はここに居たい」
ロイとネレイスは笑顔を見せる。
「よかった、その言葉を聞けて。これからよろしく頼むよ、スウェン」
「こちらこそ、迷惑をかけることになる」
「そう堅苦しくなくてもいいのに。そうだ明日の朝、あの娘にもスウェンを紹介しなきゃね」
「
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