第二十五話 燃ゆる透水、凍る鬼火
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「ゼオライマーで」
マサトはそれを聞いた時一瞬だが暗い顔を作った。しかしそれをすぐに打ち消した。
「行くか。それしかないからね」
「ええ」
そして美久に守られながら部屋を出た。後には幽羅帝とシ=アエン、シ=タウだけが残った。
「おのれ、逃げられたか」
「陛下」
その整った唇を噛む帝の前に二人が進み出て来た。
「御心配なく、逃がしはしません」
「ここは我等にお任せを」
「頼むぞ」
帝は二人を見てそう言った。
「木原マサキを討て、よいな」
「ハッ!」
二人はそれを受けてすぐに姿を消した。それを遠くから見ている男がいた。
「あの二人も動いたか」
塞臥であった。彼はそれをほくそ笑みながら一人物陰から覗き込んでいたのである。
「面白いことになってきたな、ふふふ」
彼は今度は幽羅帝を見ていた。彼女は一人そこに残っていた。
「木原マサキ」
そしてまたその名を呼んだ。
「許しはせぬ、決して」
少女の顔から女の顔になっていた。だが彼女はそれに気付かずただ憎しみでその身体を燃やすのであった。
その頃ロンド=ベルは重慶から中国を離れ中央アジアに出ていた。そこは見渡す限りの砂漠であった。
「何か懐かしいな」
「ああ」
アムロとブライトが見渡す限りの砂の海を眺めながらそう言った。
「ここだったな。俺がホワイトベースを出て行こうとしたのは」
「あの時は正直驚いたぞ」
ブライトは苦笑してそう述べた。
「急にいなくなるのだからな。全く御前という奴は」
「ははは、済まない」
「凄い大昔の話してない?」
それを聞いたエルが他のガンダムチームの面々にそう囁いた。
「二人共あれでもいい年だからな」
「俺達ヤングとは違うってことだろ」
「そうそう」
「けれどまだ二十代じゃなかったっけ。二人共」
「それでも年季が違うんでしょ」
「つまり若年寄りってわけね」
「ブライト艦長とアムロ中佐って御爺ちゃんだったんだ」
「プル、それは違うぞ」
「まあおっさんではあるかな」
「だな」
「おい」
二人がコソコソと話す彼等に目を向けてきた。
「好き勝手言ってくれるな」
「あ、御免なさい」
謝るが当然のように誠意は見られない。
「ちょっとまあ色々と」
「言っておくが私もアムロもまだ若いぞ」
「その通りだ」
「けれど一年戦争が初陣だよな」
「やっぱりおっさんよねえ」
「全く」
ブライトがいい加減うんざりした顔をした。
「まだ二十代でそんなことを言われるとはな」
「歳はとりたくないものだ」
「そうはいってもとってはしまうものだな」
ここでクワトロが出て来た。
「私もその中の一人だ」
「そういえばクワトロ大尉もだったな」
「意外とうちっておじさん多いわよね」
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