第二十五話 燃ゆる透水、凍る鬼火
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た。その中にそれぞれ黄色くて小さいものがあった。そしてそれは一つじつが異なる形をしていた。
「これが君だ」
「えっ・・・・・・!?」
その中の一つを見せられてマサトは思わず声を出した。
「あの、沖さん今何て」
「聞こえなかったのか」
沖の声は冷淡なものであった。
「これが君だと言ったんだ」
それはよく見れば細胞であった。一つずつが成長していた。
「これが僕・・・・・・」
「そうだ」
沖はまた言った。
「君はゼオライマーに乗る為に作られたものなのだ」
「嘘だ!」
それを聞いてマサトは叫んだ。
「僕は秋津マサトだ!ちゃんと両親もいるしそれに・・・・・・」
「だがこれが現実だ」
そんなマサトに対して沖はまた言った。
「君はクローンなのだ。木原マサキに作られたな」
「そんな・・・・・・」
ようやく飲み込めた。だがそれは飲み込みたくはない忌まわしい現実であった。
「僕がクローンだったなんて」
「木原マサキのな」
沖の言葉はやはり冷淡なものであった。
「そんな馬鹿な!」
「君がどう思おうと勝手だ。だがこれが真実だ」
沖はまた言った。
「それを否定することはできない」
「・・・・・・・・・」
マサトは沈黙してしまった。沖はそれでもまだ言葉を続ける。
「そしてこれが運命なのだ」
「運命?」
「そうだ。君はゼオライマーに乗る為にこの世に作り出された。そして戦う為にな」
「そんな、じゃあ僕は道具だというのか」
「そうよ」
美久がここでマサトに対して言った。
「マサト君、貴方は道具なのよ。そして私も」
「馬鹿な」
マサトはそれを否定した。
「じゃあ君もそうなのか」
「ええ」
「そんな・・・・・・」
思いもよらぬその答えを聞いて思わず絶句した。
「じゃあ君も・・・・・・」
「ええ」
美久は頷いた。
「私もマサト君も同じよ。ゼオライマーに乗って戦う為に」
「そんな筈がない!」
マサトはそれを否定した。
「人はそんなことの為だけに生まれるわけじゃない!そんな・・・・・・」
「否定できるの?」
「うう・・・・・・」
否定できなかった。今までの話を聞いて出来る筈もなかった。
「人間っていうのは元々運命付けられて生まれてくるではないかしら」
「どうしてそんなに冷静にいてられるんだ」
「それが私の運命だから」
美久の言葉は変わらなかった。
「だからよ」
「けれど僕は違う」
もう理屈ではなかった。とにかくそれを否定したかった。
「僕は・・・・・・僕はクローンなんかじゃない!僕は僕なんだ!」
「あ、待ってマサト君!」
マサトは部屋を飛び出た。美久はそれを追おうとする。だがそれを沖が止めた。
「いい」
「けど」
「どのみち彼にはここに
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